I like you. Do you like me?
Apple musicを開いて「あなたにおすすめ」の音楽をシャッフル再生する。緊張を抱えながら、本を読む気力もなく、ただバスの車窓を眺める。わたしの瞳は何もとらえることはない。すべてがなにを主張することもなく、ただ後ろに過ぎ去っていく。
何かがカチッとわたしの心に引っかかり、脳みそをぐちゃぐちゃにかき回す。その不安定なメロディが激しくわたしの心を揺らし、壁をガラガラと破壊し、洪水を起こす。激流にのみ込まれたわたしは、なすすべもない。
I like you. Do you like me?
わたしの耳に届いたのはその言葉だけ。
I like you. Do you like me?
<小さなわたし>がささやきかける声。
そのとき、ただ見えたんだ。きみの小さな姿が。<小さなわたし>のまっすぐな瞳が。涙をいっぱいにたたえてわたしを求める<小さなわたし>の姿が。
そうだった。いつだって<小さなわたし>は、わたしのことだけを考え、わたしのことだけを愛してくれていた。
「好きだよ。大好きだよ。きみのためなら何だってするよ。どんな願いだってかなえて上げるよ。だからもっとこっちを見て。わたしを見て。文句ばっかり言わないで。嫌わないで。ねぇ、こっちを見て」
やっと届いた、<小さなわたし>からの声。わたしは本当はずっと知っていたのに。<小さなわたし>がわたしに訴えかけていることに、ずっと気づいていたのに。
「こっちを見て」
その言葉を本当は聞いていたのに。外ばっかり見て、外ばっかり探して、外にばっかり求めて、外にしか答えはないと思って、ずっとわたしの中の<小さなわたし>を無視し続けていた。
いま、わたしはやっと、<小さなわたし>の声に気づき、振り向き、そのか細く傷だらけの手を握ってみることにした。血管に血が流れ、心臓が激しく鼓動し、筋肉が細かく収縮をはじめる。
わたしは、ーわたしと小さなわたしー は、ともに生き始める。
<小さなわたし>は涙を抑えることができず、ずっと泣いている。わたしは、ただそんな<小さなわたし>を抱きしめて、あまりに小さいその背中をさすってやることしかできない。
遠くから風がささやく。
I love you. Do you love me?
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