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小から中に移すメソッドに挑戦中④『人事採用はできない人を想定する』

以前にも紹介しましたが、武田信玄の有名な格言の一つで
『人は石垣、人は堀、人は城なり』という言葉があります。
人を大切に考えた信玄公らしい言葉で、この通り、信玄公は生涯
大きな城郭を構えることはありませんでした。

この言葉を現代風に置き換えるとしたら
『設備や建物が会社ではなくて、人そのものが会社なんだよ』
って意味になります。沁みますね。沁みます。

ここからは私がなぜ小から中に向かうことを選んだのか?という
大前提にかかわることなので、少しばかりご説明しておきます。

私は2010年に独立開業し『Ristorante il fico』というお店を開業しました。
その2年後に『PIZZERIA IL FICO』を開業し、
またその2年後には『食パン専門店プルンニャ』をオープンしました。
様々な地域のイベントも主催したり、それなりに順風満帆に経営しておりまた。
当時の私は、「俺ってすげーだろ。天才じゃねーの?」てな感じで完全に天狗状態でした。

今思えば当時、私の周りにいたスタッフは強力でした。
優秀で気合いに満ちた人達が集まっていたと思います。
私は、私の実力のみでそのような状況をつくっていたのだと、大きな勘違いをしていました。
私が私らしく戦えたのは、優秀な素晴らしい仲間が周りにいたからに他なりません。
時が流れて、彼らは各々に彼らの理想とする場所に旅立ちました。彼らと築いた物語は終焉を迎え、私には空虚な店だけが残りました。
10年。それなりに考えて戦ってきた自分に残されたのは3つのお店と僕自身だけでした。
私は店を閉める決意を固め、次にどう生きるかを考えました。
30代、人に支えられ、支えられていることに気付かずにいた自分。
それならば真逆の思想を育ててみよう。
自分を媒体にして、誰かが生きがいや輝きを持つ環境を作ってみよう。
誰かを支える為に自分ができる事は何か?それを探してみよう。
その中で今の会社が始まり、次の理念を具現化する挑戦が始まりました。
信玄の言葉を借りるならまさに、
『人は城なり』です。

さて表題に戻ります。「人事採用はできない人を想定する」この意味を説明いたします。

私たちが理念を具現化するうえで、【飲食業】の現状を理解する必要があります。我が国の一流の料理人・一流のお店・一流のサービス。
日本でもトップレベルと呼ばれるお店の価値は、世界でもまたトップレベルといっても過言ではないでしょう。
前項で述べた通り、もはやそれは芸術の領域です。
とてつもない鍛錬と修行と努力の上にそれは成り立ちます。
その厳しさゆえに。
それを目指す料理人の中には、道半ばにこの世界を去る決断をした人も少なくないでしょう。また、家庭の事情や金銭の問題など様々な事情により夢半ばにそれをあきらめた人もいるでしょう。
「自分ではダメなんだ」「俺には才能がない」と断念した人を、笑うことができるでしょうか?そんな世界はつまらないし優しくないと僕は思っています。

そこで僕は考え方の角度を変えます。
そういう君でも、戦い方や場所を変えることで新たな輝きを得ることができるのではないか?
【何かができなかったということは、ほかの何かができることの裏返し】ではなかろうか。

できる人を探す人事をやめて
できなかった人が輝ける環境を作る。その人が最高に輝ける方法を探す。

角度を変えて、できない人を想定すること。
できないという概念を破壊すること。このことにコミットメントしてみました。

もちろんできる人にはその道筋を提案します。
できる人には私は期間を明確に示します。次に何をするのか?
(経営的に理解しておかないといけないのは、できる人は次に向かう可能性も高いということ。)

私が面接でチェックするポイントは、
「できるかできないか」ではなく「やろうとしているかしていないか」
ということだけです。

主婦や学生、転職組やほかのお店からの移籍組、自分の事業をやめて
このチームに参加している人もいます。

私たちのチームには、スーパースターはいません。もちろん僕も含めてです。
けれど間違いなく、少なくとも私の経験則からいえることは、
私たちは『スーパーチーム』になれる。と思っています。

輝き方は一つとは限りません。あなたは必ず【輝く角度】を持っています。

またお会いしましょう。アディオス。







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