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まちカドまぞく考察(1) 桜ヶ丘高等学校1年1学期中間試験問題について

まちカドまぞく考察です.

この記事にはアニメ9話,原作2巻までのネタバレを含みます.


はじめに

アニメ9話,原作2巻19丁目において,シャミ子は千代田桃に期末テストの点数による勝負をもちかける.

この際,勝負の詳細を決定するため,千代田桃は前回のテストである「中間の答案」(数学I)をシャミ子に見せた.

この答案はアニメにおいても漫画においても一応描画されるが,アニメでは答案のほとんどが省略されており,読むことができない.

一方,漫画においては,(千代田桃が机の奥に放置しアコーディオン状のグチャグチャにしてしまったため一部不明なところもあるが)大部分が判読可能である.

我々の目的は,この答案の最下部にある記述式問題である大問4について,答案から問題を復元することである.

出題編

持っている中で最大の度数の眼鏡を用いて答案を書き写したものが以下である.アコーディオン状のグチャグチャや文字が小さすぎて判読できなかった文字は?で示している.

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また,(1)の領域の右側には以下の図が描かれている.

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はじめにこのコマが目に入った時,この答案はあくまで数学っぽい数式を列挙したものであって,論理的に意味を成さないだろうと考えていた.

しかし,この答案はどうだろうか.明らかに,無意味な数式の列挙ではない.

そして驚くべきことに,これは実際に問題を解いた答案として意味のある記述だったのだ.

解答編

諸々の試行錯誤をすっ飛ばして結論だけ述べると,千代田桃が解いた問題は以下のようなものであったと推測される.

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実際にこの問題を解くと,千代田桃の答案にそっくりになるはずである.少なくとも(1)の答えは-6/7となり,これは千代田桃の答案と一致する.

(2)の答えは15√13となるが,残念ながらこちらは千代田桃の答案と比較できない.

問題についての考察

簡単に調べたところ,円に内接する四角形の四辺の長さがわかっていて,その四角形の面積を求めるというタイプの問題は,余弦定理を用いる応用問題として典型的なようだ.

しかし,高校1年1学期の中間試験にしては,かなり難易度が高いように思える.一般的な高校においては,三角関数を習うのは2学期以降であり,余弦定理を習うのは数学Iの範囲の最終盤あたりだった気がする.

この問題は,ブラーマグプタの公式を使うと余弦定理等を使わず簡単に解ける.しかし,(1)の誘導があるため素直に正攻法で解くべきだろう.

まちカドまぞくについての考察

問題の難易度からして,平均よりも早く単元を消化していることが伺える.すなわち,桜ヶ丘高校は進学校なのではないだろうか.

桜ヶ丘高校のデザインの元となった某中高一貫校の中学入試における難易度も極めて高く,このことも合わせて考えると興味深い.(とはいえ桜ヶ丘高校は中高一貫校では無いようなので,元ネタを議論の俎上に載せるべきではないかもしれない.)

とりあえず,ここでは桜ヶ丘高校を中高一貫ではない進学校と仮定しよう.すると,シャミ子は補講対象者になってしまったとはいえ,世間の平均から比較すれば全くおばかではないという可能性が浮かび上がってくる.

角が生える以前はかなり病弱だったことを考えると,その逆境を克服して桜ヶ丘高校に進学したことには賞賛を送るべきだろう.

少なくとも,仮に高校時代の私がシャミ子と世界史の期末試験で勝負をしていたら,私が8000回ほどダンベルを課されていたことになる.私にはシャミ子を見下すことはできない.

また,ネタバレを避けるため具体的な言及は避けるが,4巻での出来事を考えると,円が絡んでくる平面幾何の問題は千代田桃にとってかなり簡単なものだったのかもしれない.

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