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尊敬する人。

「あなたの尊敬する人って誰ですか?」という問いについて考える機会が最近あった。こういう時、偉人の名前や自分の両親を挙げる人が多い気がするけど、私はどちらも特にない。特定の偉人を深く考えることもないし、そもそも偉人に対してそういう眼差しを向けない。両親は、尊敬というよりただただ大事な存在って感じで、尊敬のキーワードはまた別な気がしている。

私が誰の名を挙げたのか?それは、前職時代の先輩だった。

こういう粒度で挙げる人ってその時周りにあまりいなかった気がしたけど、私が一番最初に頭に浮かんだのがこの方だ。

なぜか?それは、その人が「助けを必要としている人に、何の見返りもなく、躊躇なく手を差し伸べられる人」であり、私自身そうなりたいと思っているからだ。

前職時代、社会人1年目の頃。メンタルズタボロで、ほぼほぼ鬱状態で、会社も辞めたい明日も生きたくないと本気で思っていた頃、唯一信頼できたのがその先輩だった。ある日、もう本当に頑張れないと思って、先輩にメッセージを送信。「今日こんなことがあって(当時、直属の上司との関係性がめちゃくちゃ悪かった)、仕事もキャパオーバーでもう無理です」と。

その私の「もう無理」を察知してか、仕事終わりの夜に私の家まで来てくれた。(仕事終わりというより、そもそも仕事が終わらない会社だったので、正確には仕事を切り辞めて来てくれた)
ただただ私の話を聞いてくれ、一通り話し終えた後は、今業務で何がいっぱいいっぱいになっているのか、案件の洗い出しと整理から一緒にやってくれた。その作業だけで、私はとても落ち着けたことを覚えている。最終的にすべてを話し終えたのは終電もない頃。先輩は、タクシーに乗って家に帰っていった。
その後、先輩は会社に掛け合ってくれて、私を直属の上司から離してくれ、先輩自身は、適度なタイミングで私を気遣い話す時間を定期的に作ってくれた。
そのおかげで、私は会社を辞めずになんとか復活し、その後も仕事を続けて成果を出せるようになり、3年間続けて、今は転職もできた。
その先輩がいなかったら、私の社会人人生は終わっていた、仕事に何のやりがいも見いだせずに今でも生きることに苦しんでいた可能性はある。命の恩人だ。

こういう事があったので、ただ私がその先輩に恩を感じていると言ってしまえばそれだけなのだが、「尊敬」の念まで抱くのには他にも理由がある。

まず、よく考えてみると、私が先輩に連絡をして、家まで来てくれるまではほんの数時間の出来事。前から予定していたわけでも何でもない。しかも、先ほども述べた通り、終わりのない仕事なわけで、きっとその日も先輩は、夜な夜な仕事をしないといけないタスクがあったはずだ。それを蹴ってまで、私のところに来てくれた。

それに、終電を全く気にしなかった。次の日も仕事だったのに。ただただ私の気持ちが落ち着くのを待ってくれた。しかも、ここまで私をフォローしても、その先輩は私の上司でも何でもなかったので、何のメリットもないはずだ。

しかもこれは後で知ったことだが、その時期、先輩自身もとても悩んでいた時期だった。結構深刻に。その先輩は、その期の終わりに転職していったのだが、そのことで本当に悩んで戦っていた時期だったらしい。なのに自分のことは置いておいて、ただただ人のために尽くせる人だった。何の見返りも求めず、躊躇なく、手を差し伸べてくれた。

しばらくしてから、先輩にふときいてみた。「なぜあの時、あんなに私を助けてくれたのですか?」と。その時言われたこと、「私がやりたいのはそういうことなんだよね。ただ困っている人を助けたい、それだけ」みたいなこと(※だいぶ自己解釈入っているかもw)

その言葉にとても心打たれると同時に、共感もして、私もそういう人でありたいと強く感じた。

その先輩とは今でも仲良くさせてもらっているし、当時一緒に仕事をしていた時も、”分かり合える”存在だった。

業界No.3か4くらいのサービス(BtoB)を売っていた私たちは、とにかくシェアを取りに行くために競合優位性を強く気にして、どうすればシェアを獲れるか?どうすれば売れるか?という議論をよくしていた。

ただ私は、あまりそこに関心なくて(立場も、経営者でもなければ役職者でもなく、ただのメンバーだったのもあるけど)”ただただ目の前のお客さんの役に立ちたい”一心で仕事をしていた。なので、良くも悪くもどうシェアを獲りにいくかはどうでもよくて、会社としてはシェアを獲るためにお客さんを選ぶ戦法にはなるけど、私はそのスタンスにあまり賛同していなかった。(仕事に必死に向き合うお客さんの力になりたい、それに上も下もあるか?みたいな価値観だった。今もだけど)

その先輩とは、そういう仕事に対する向き合い方がとても良く似ていて、よく共感をし合っていた。そういうのもあって、先輩の言動がとてもしっくりきていた。一方私に、「見返りなく躊躇ない行動ができるか?」と言われると、即座にYESと言えない気もして、それもあって、ただただ尊敬している。

「あなたが尊敬する人は誰ですか?」という問い、私の価値観や生き方がとても現れた問いだったなと思い、アウトプットしてみました。

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