セクシュアリティを尊重するということ

 パートナーが、身体的接触に否定的である。人、特に異性が自分の体に触れてくることが嫌なそうで、結婚当初は手に触れるだけでも少し体がこわばっていた。

 一方の自分は身体的接触がウェルカムな正確である。ウェルカムどころか積極的にしたいタイプだ。手をつなぐどころじゃなく、ハグも、キスも、それ以上のことだってしたい。

 お互いに対立するセクシュアリティ。この溝をどう埋めるか、結婚してすぐに話し合いの場を作った。

 結論は、定期的なスキンシップを通して、妻が「相手に触れられることに慣れていこう」というもの。その試みを始めて数か月たつが、今では数秒のハグならできるようになってきた。

 ただ、ここまでたどり着くのにも文章で書くほど簡単な道のりではなかった。僕はともすればすぐ相手に触りたくなるのに、相手が「その気」どころか、「頑張る」という気持ちにならなければ触らせてもらえないのだ。自然、相手の心に余裕があるときしかスキンシップをお願いできないという我慢の日々(相手も触らせるというときは我慢するのだからお互い様なのかもしれないが)。大学でセクシュアリティに関することを少し勉強し、「相手のセクシュアリティを尊重すべきである」なんてことは重々承知だったけど、これほど我慢を強いられるとは。やはり知るのと体験するのでは雲泥の差があった。

 それでも今の取り組みを続けていられるのは、相手もこちらの気持ちを尊重してくれているからだ。気分が乗ったときは自分からスキンシップしようと提案してくれるし、こちらのお願いにもなるべく応じようとしてくれるのは態度を見ればわかる。性的なことを話すのもいやだったろうに、こちらが話し合いの場を設けた時も真剣に話し合ってくれた。本当に、今の人が妻でよかったと思う。

 二人の最終目標はセックスして子どもを産むことある。まだハグが精いっぱいだけれど、少しずつ進歩していって、元気な赤ちゃんを産ませてあげたい。

 そして可能なら、性的なコミュニケーションも悪くないなと、妻に思ってもらうことができたら。それがもう一つの僕の目標だ。

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