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小説・短編集

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#胸のもやもやの正体

【掌編小説】幸福感

 飲み会の帰り、都心の駅を一人、人ごみに紛れて歩く。

 深夜も近い時間帯。終電へと急ぐ人、次の目的地へ行く人、大人数で騒ぐ人、速足でうつむき加減に歩く人・・・。

 雑踏の中で、僕は独りだった。大勢の人に囲まれているのに、ひどく孤独だった。

 ふと、甘い香りが鼻をくすぐった。石鹸のような、淡い香り。どこか懐かしい、胸の中をくすぐる匂い。

 その正体を思い出して、足を止める。周りに視線をやるが

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