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屋上の少女

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#恋愛

六 山へ

どうしてこうなってしまったのかは分からない。

 部活が始まる前に、良平と二人で着替えて時とは考えられないほど落ち込んで、翔太はロッカーから着替えを取りだす。

 いきなり行われた入部テスト。結果は一セット取ったものの三セットあんなに取られ敗北。一セット取れて入るが、内容としてはかなりの実力差があった。

「終わった人は解散ね。今日はまだ仮入部期間だから、全員相手するにはちょっと時間が厳しいのよ」

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五 入部テスト

その日の放課後、翔太はいつも通り部活へと向かった。更衣室をあけると、良平が一足先に着替えているところに出くわす。

「よお、翔太やんか」

「よ、良平」

 だいぶ慣れてきたこともあり軽く挨拶をかわす。翔太も荷物の中から着替えを取り出して、着替え始めた。

「さて、いよいよ明日は登録日やな。翔太結局どないするん?」

 良平にはまだ卓球部に入ろうと思っていることを教えていない。初めて仮入部に来た時

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四 できつつある日常

入学してから三週間もすると、新しい環境にも慣れ、学校には日常というありきたりな空気が流れ始める。

 翔太にとっても、それは当てはまることだった。

 クラスでは依然友人はいない。たまにクラスメイトとかわす言葉も、事務的な者しかなかった。

 それでも翔太は、学校で居場所を見つけつつあった。

 昼食の時間になれば屋上へ行き、楓と一緒に弁当を広げる。相変わらず会話は少なく、座る距離もすこし縮んだだ

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