見出し画像

稼ぐ能力に影響を及ぼす「抽象化スキル」について

今日は、知識労働者が収入をアップさせるために不可欠な「抽象化スキル」について書きたいと思います。

■抽象化スキルとは?

抽象化とはどういうことか、の定義をまずは共有しておきます。
※ちなみに「抽象化」と「概念化」は厳密にいうと違うのですが、ひとまずここでは同じものとして取り扱おうと思います。

「なんでこんなに何でもできちゃうのこの人」
みたいな人、周りにいませんか?
その人はおそらく、抽象化スキルに長けた人だと思います。

さて、抽象化とは何か、一言でいうと、
「バラバラの物事を上位概念にまとめる(抽象化する)こと」

例えば、
ハサミ、鉛筆、蛍光ペン、カッター、ボールペンというバラバラの要素があったとします。

これらを上位概念でまとめていくと、
ハサミ・カッター → 裁断用具
鉛筆・蛍光ペン・ボールペン → 筆記用具
という上位概念にまとめることができます。

さらに、
裁断用具・筆記用具 → 文房具 
という更に上位概念にまとめることができます。
これが抽象化です。

画像2

つまりは、
バラバラの物事を、共通した概念として「タイトルをつける」ことが抽象化の基本的な理解でいいと思います。

日々の生活や仕事の中で、抽象的思考を習慣的にしているかどうかで、仕事の能力、しいては人間力に大きな差がつくのは間違いないと思います。

では、なぜこの考え方が稼ぐ力に影響を及ぼすのか?
について解説していきます。

■抽象化スキルがなぜ仕事の役にたつのか

最近、フリーランスや個人事業主がプロジェクトごとに集まるような仕事のスタイルが一気にポピュラーになりました。
このような"フリーランス市場拡大"の流れの中で、誰でもできるレベルの仕事は残念ながら報酬の安い仕事としてコモディティ化していきます。

例えば、ウェブデザインという仕事は少し前はウェブデザイナーの専売特許みたいなものでしたが、最近は素人でも簡単にウェブサイトが作れるサービスが増え、ウェブデザインの発注額は急激に値下がりしました。

一方で、例えば音楽家としての経験を生かしたウェブデザインを稼業にしているウェブデザイナーがいたとして、「アーティストのブランディングのためのウェブデザインができるウェブデザイナー」という尖ったスキルがその市場の中で圧倒的な優位性を持ち、当然価格競争をせずに高い報酬を得ることができる。かもしれません。

経験やスキルの引き出しが多いほど、それらの掛け合わせて希少性のある価値を見出すことができるようになり、その希少性が必要とされる世界で、圧倒的な優位性を発揮することができるわけです。

僕たちは、コンサルタントやアクセラレータという立場で、クライアントの社内プロジェクト支援の仕事に携わることが多いのですが、僕たちにとっても抽象化スキルは重要なスキルになります。
そして、物事を抽象化(概念化)するための知識・情報の数が、抽象化を必要とする僕たちの仕事の質に大きく影響してきます。
また、様々なプロジェクトの経験を積むほど、多くの分野で抽象化スキルを発揮できることを感じています。

例えば、
プロジェクトを完成させるために、様々な情報(や知識)をインプットしたり、既に持っている情報を活用します。

画像2

この経験を重ねていくと、「プロジェクト1」、「プロジェクト2」という2つのプロジェクトで得た情報・知識が、性質の異なる別のプロジェクトで活用できるということが多々あります。
例えば、「Y社の事業開発プロジェクトで使ったあのフレームワークをX社の業務プロセス改善に応用できるんじゃない?」みたいなことがしょっちゅうあります。

画像3


さらには、別々のプロジェクトの経験を組み合わせて、新しいプロジェクトに活用できることもあります。

画像4


さらに、抽象度の高い人が会社・組織・プロジェクトに同居していれば、相乗効果でさらに質の高い仕事ができるようになります。
抽象度の高い個人の集団は最強のパフォーマンスを発揮します。

■なぜ抽象化スキルが必要なのか?

僕たちの会社には、日々様々なプロジェクトの相談が来ます。
新商品の開発であったり、社員の教育であったり、組織の改革であったりと。
得てして問題の原因は多岐にわたり、一筋縄の手段では解決できない課題ばかりです。

例えば事業開発やマーケティングにおいては、目まぐるしいトレンドや社会のニーズの変化に対してどのような打開策を出していくかを日々考え続けなければなりません。

しかし、上位概念から俯瞰してみると、
表面的なトレンドやニーズが変わっても、人間が「嬉しい」とか「悲しい」とか「心地いい」とか「不快」と思う要素はおおよそ普遍的であり、その根っこに刺激を与える施策が大きな効果をもたらしたりします。
さらに根本的な原因を追求していくと、「社員のモチベーション低下が原因」という解にいきつくこともあります。
これらを、「心を豊かに生活したい」という人間の共通概念をベースに考えることで、社員と顧客の両方をハッピーにすることで売上を向上させるという施策が最適解になるかもしれません。

変化がめまぐるしい時代だからこそ、「いかなる事象に対しても汎用的かつ本質的な要素として概念化させる能力」つまり、あらゆる物事を概念的に理解しておくことが必要だと僕は考えます。

いろんな方法論が世の中に出ていますが、一番大事なことは意外とシンプルだったりするんですよね。

■抽象化スキルをどう身につけるのか?

この抽象化スキルは、生まれ持った才能ではなく後天的に身につけることができます。
抽象化スキルを高める手段として以下3つをおすすめします。

1.読書
2.海外経験 
3.人脈

1.読書
読書は、抽象化スキルを高めるために最も手軽で効果的です。
何か新しい分野を勉強する際、その分野の本を3-5冊読むと、共通点や本質的な要点が見えてきます。
さらに、他の分野の本をいくつか読んでいくと、全く違う分野同士から共通点が抽出されて、より上位概念で物事を抽象化できたりします。

片道30分の通勤時間を読書に当てることを習慣化するだけで、1週間で5時間を読書に費やすことができますし、飲み会1回分の費用で5冊くらい本を買えると考えたら、相当コスパがいいですよね。

2.海外経験 
得てして、留学経験者は自然に高い抽象化スキルを身に着けていることが多いです。
おそらく、異文化や人種の多様性の中から自然と物事を抽象的に捉えることができるのではないかと思います。
島国日本で育った僕らの思考は、知らずのうちに固定観念に縛られています。
海外に行くと、自分の中の常識では理解不能な出来事に遭遇することがたくさんありますが、人間の普遍的な価値観は変わらないのだなと思うに至ることがよくあります。
今はLCCで往復1万円台で行ける海外に行けるチケットもあるので、できるだけ多く海外に足を運んでみることをおすすめします。

3.人脈 
考え方や価値観を形成するうえで他人から受ける影響はかなり大きいです。
また、自分の考え方や価値観は、最も身近にいる10人の考え方・価値観の平均として形成されているということもよく言われます。
意識的に同じ業界で思考が凝り固まらないようにできるだけ違う世界の人と関わるように心がけるのがいいかもしれません。
それによって、異なる業界の人たちから得た断片的な情報が、仕事に役立つ抽象化された情報になることも多いはず。

コロナ禍で思うように活動できない昨今ではありますが、もし現状、視野が狭まっているな?と感じるならば、今いる世界から一歩外に踏み出してみることを強くお勧めします。

個人のスキルで稼ごうと考えている方の一助になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?