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ハジマリのハジマリ

 「どうして出版?」「本は今売れないよ」「無名の人が書いても気にもとめてもらえないから」と、色々なご意見をいただいた。でも私がしたかったのは、儲けたいとか有名になりたいとか、そういうことじゃなくて、「本で命を救いたい」ってことだったんだよな。

命を救うって?

 3回の育休を取った私。コロナ禍の今でさえ、毎日を満喫している私だけど、最初の育休からこんな風ではなかった。抱っこしていればいい子だけど、寝かすととたんに泣いていた長男と、(私がヒステリーに怒鳴ったりイラついたりせずに)無事に1日過ごすには、ベビーカーに乗せてひたすら散歩。これしかなかった。家にいたらもうイライラが止まらなくなって、かわいいはずの我が子に手をあげそうになる(泣)だから、台風の日以外は外に出て、ただただとりとめもなく歩く歩く歩く。。。

「育休ってこんなに辛いのか・・・」

「育休ってこんなに孤独なのか・・・」

「早く職場に戻りたい・・・」

 そんなことばかり考えていた。

 今考えたら、「頼るところ、もっと他にあっただろうに・・・」と思うけれど、当時はもう毎日が精一杯。なにせ、初めての育休。

子どもを育てるって、思っていた以上にハードだった。

 こんな感じで生活していると、普段の自分のテンションでは考えられないくらい鬱っぽくなる。誰かに話を聞いて欲しいな・・・とか思うけど、めちゃくちゃネガティブになってて聞こうとも思えない。さらに「自分1人で頑張らなくちゃ!」とかいう、小さな頃からの気質や教えも相まって、本当に本当に追い詰められる。

 そんな時に、広げた1冊の本。

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「人生の地図/高橋歩」

大学時代にたまたま書店で見つけて買った本を開くと、こわばった私の気持ちを溶かす言葉の数々に出遭った。

自分の仕事を嫌っているようなクソったれにだけはなりたくない。

そうだな・・・。母親が仕事だとしたら、「あ〜なんでこんなことになっちゃってんだよ〜」って、今の私は仕事が嫌になってる。それはクソったれか!?私、クソったれじゃんか!おいおい!いーのかそれで!!!

「今回の人生は、最後まで、この人と生きよう。」そう思ったから結婚したんだ。

 1人で頑張るって、まあそれは日本人的には美徳だけれども、もう1人じゃ無理なところまできてるよな〜。結婚してる意味ってなんだっけ?子育てで辛くなってるの、もしかして私だけ?えええええ????旦那さん、何してたっけ?結婚してるんだから、頼っていいんだよな・・・もっと。。。


 と、この本からは、その後も様々なところで気づきや助けを得ることになる。

 でも、もっと産後のママに特化したものがあったらな〜って、その時から思っていたのね。

 ママの体験、ママの気持ち、赤ちゃんと生活することはこんな気持ちになるんだって、もっと早く知っていたら、あんなに鬱々過ごすこともなかったし、今の気持ち誰にも話せない・・・みたいなことも少なかったんだろうなって。

 ギリギリの精神状態の時に、誰にも頼れなくても、家で1人で広げてみるだけで楽になれる本。ゲートキーパーみたいな本。そんな本を、創ってみたいとおもった。

 でもね、1人じゃできない。出版のことはちゃんと勉強したこともないし、知識もないからよくわからないけど、とてつもなく”大変そうだ”ってことはわかる。

 だから、私のこの想いに賛同してくれる人がいたら、一緒に創りたいって思った。

 たまたま身近にあった「育休コミュティMIRAIS(ミライズ)」というコミュニティ。産育休を取っている人が所属している。そこでなら、一緒に創ってくれる仲間を探せそうな気がした。

 「子育て」「仕事」「育休」。そんな単語でつながれたMIRAISのメンバーなら。

 それで、プロジェクトメンバー募集が解禁になったとき、ドキドキしながら書き込んだ。

「『育休リアル本』出版プロジェクト、一緒にやりませんか?」

これが、ハジマリのハジマリ。


 



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