見出し画像

日本語テキスト考 ①初級編

うちの学校では、もう5年ほど
「できる日本語」を使わせてもらっています。

日本語学校の中で、初級テキストはやはり
大きな位置にあると思います。
だからこそ、学校の想いや姿勢、そのあり方を
体現するものであってほしいと思うのです。
「みんなの日本語」が批判されるのは
やろうとする教育と教科書のコンセプトが
ずれてるだけなんじゃないかな…と思います。
私ももう10年以上「みん日」を使っていませんが…

では、どうして「できる日本語」を選んだか。
それはいろんな理由がありますが、
いちばんは、著者である嶋田和子先生の想いです。
私はその想いにとても共感しているし
先生や学生ともその想いを共有したいからです。

キーワードは「対話」
「できる日本語」はこのように説明されています。

「できる日本語」シリーズは、「自分のこと/自分の考えを伝える力」「伝え合う・語り合う日本語力」を身につけることを目的にした教科書です。日本語によるコミュニケーションの中でも「対話力」に重きをおき、人とつながる力を養います。

日本語学校に来る学生の多くは
「日本語が上手になること」がゴールではなく
その先の夢があります。
だからその実現をサポートするのが
日本語学校の先生の仕事です。
そのために、学生たちには
それを勝ち取るための日本語力を、そして
その先の場所でできるだけ困らない日本語力を
身につけていかなければなりません。
しかし、それと同時に
日本語の教室はただつなぎの場所ではなく
日本生活の第一歩を踏み出して
さまざまな年齢、バックグラウンドの人とともに
異なる価値観を共有する場、対話する場です。
学生たちはそのつながりの中から
さまざまに感じ、自分を育てていきます。
それこそが日本語学校の
もうひとつの価値だと思います。

日本語レベルが上がったからといって
対話できるようになるわけではありません。
対話力をつけるためには
初級の時から対話を意識した場づくりが
不可欠だと思います。
その想いをきちんとみんなに届けてくれる
メッセージを発信してくれるテキストが
「できる日本語」だと思っています。
細部にわたる文脈や必然性へのこだわりは
本当にすばらしい!
何回やっても新たな発見があるテキストです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?