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日本理学療法士協会の新生涯学習制度について① ~新生涯学習制度の概要~

こんにちは、理学療法士いくちゃんです。

 理学療法士の方なら皆さんご存じだとは思いますが、2022年(令和4年)4月より日本理学療法士協会の生涯学習制度が10年ぶりにリニューアルされます。

 とはいえ、「リニューアルされるのは知ってたけど、具体的に何が変わるのかまでは知らない」「今までよりも複雑になっててよく分からない」「そもそもめんどくさい」といった方も一定数いらっしゃると思います。

 そこで今回は、日本理学療法士協会の新生涯学習制度の概要について分かりやすくまとめてみました。

 詳細については別の記事にて説明していく予定ですが、まずはこの記事を読んで大まかに全体のイメージをつかんでいただければと思います。

①なぜ新生涯学習制度が必要なのか


 なぜ生涯学習制度を変える必要があったのかについて、日本理学療法士協会のホームページには、


 「理学療法士」という仕事が生まれてから50年以上が経過し、その間に人々の生活や社会環境は大きく変化しました。本会では、多様化するニーズに応えうる理学療法士を育成するため、2022年度より生涯学習制度をリニューアルします。


と書かれています。

 つまり、日本で理学療法士が誕生した1965年(昭和40年)に比べて、現在は少子高齢化が進み社会の構造が大きく変化し、さらにSDGsをはじめとする新しい価値観などによって社会から理学療法士に求められるニーズが多様化しています。

 それらに対応できる理学療法士を育成するために、新しい生涯学習制度が必要であるということのようですね。


②新生涯学習制度の概要について


 新生涯学習制度は大きく分けると、全体の基盤となる「登録理学療法士制度」と、その上に乗る「認定・専門理学療法士制度」から構成される制度のようです。

新生涯学習制度イメージ図


 それではそれぞれの制度について、もう少し詳しく見ていきましょう。

③登録理学療法士制度について


 全体の基盤となる登録理学療法士制度は、現行の制度でいう「新人教育プログラム」にあたる制度だと考えてよさそうです。

 ただ、現行の新人教育プログラムが最短履修期間1年、計15時間の研修を受けることで修了できたのに対して、登録理学療法士制度は最短履修期間2年、計81時間のカリキュラムからなる「前期研修」と、最短履修期間3年、計76.5時間のカリキュラム+36か月の実地経験からなる「後期研修」で構成されており、それぞれを修了する必要があるようです。

 日本理学療法士協会としては、卒後5年間は義務教育的な位置づけとして、様々な障害像に対応できる能力を有する「ジェネラリスト」の育成を目指しているようです。

 最短履修期間も研修時間も現行制度に比べてはるかに増加しており、日本理学療法士協会の本気を感じます。

 さらに、この登録理学療法士制度は5年ごとの更新制のようです。

 つまり、一度登録理学療法士資格を取得すると、更新要件を満たすためにその後5年間研修などで知識や技術の維持・更新に努める必要があるようです。

 そうやって生涯にわたって学び続ける体制を作り、社会に対する理学療法士の質の担保を図ろうとしているようです。

④認定・専門理学療法士制度について


 登録理学療法士を取得したのち、自らの専門性をさらに高めたい理学療法士に対する動機づけとして認定・専門理学療法士制度があります。

 登録理学療法士が「ジェネラリスト」を目指すプログラムなのに対して、認定・専門理学療法士制度は、より高い専門性を有する「スペシャリスト」、いわば個性の育成プラグラムのようです。

 認定理学療法士・専門理学療法士ともに、登録理学療法士取得後1年以上かけて必要要件を満たしたうえで、認定理学療法士であれば認定試験、専門理学療法士であれば口頭試問に合格することで取得できます。

 認定理学療法士は臨床・教育の現場等でより質の高いサービスを提供すること、専門理学療法士は学術的に理学療法学を発展されることをそれぞれの役割としていると考えてよさそうです。

 もちろん認定・専門理学療法士ともに、登録理学療法士と同様に5年ごとの更新制です。

⑤まとめ


 今回は日本理学療法士協会の新生涯学習制度の概要について説明しました。

 日本理学療法士協会は、社会の変化や多様なニーズに応えることができる理学療法士を育成し続けるために、全体の基盤となる登録理学療法士制度(目指せジェネラリスト)と、より高い専門性を提供する認定・専門理学療法士制度(目指せスペシャリスト)を作りました。

 日本理学療法士協会はかなり本気を出しているようで、最短履修期間も研修時間も現行制度に比べてはるかに増加しており、制度設計も複雑なものになっています。

 普段、臨床現場で働いている一人の理学療法士としては、仕事をしながらこれらのカリキュラムを修めていくのはかなり大変だと思います。

 しかし、そこで「疲れた」「面倒くさい」と言って匙を投げるのは簡単ですが、それでは将来自分自身の首を絞めることになるかもしれません。

 現代はVUCA(ブーカ)の時代と言われ、何が起こるか分からない時代だといわれています。

 そんななかで私たちを助けてくれるのは、それまで私たちが自分で積み上げてきた知識・技術・実績だとわたしは思っています。

 これからも日本理学療法士協会の新生涯学習制度について、できるだけ分かりやすく伝えていけたらと考えています。

 この記事が皆さんの将来を考える一助となれば幸いです。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。