こんぴらさんに夫とお参りしたら将来の不安が少し減った話
夫と結婚する前に、こんぴらさんにお参りしたことがある。
「こんぴらさん」の呼び名で親しまれている、香川県仲多度郡(なかたどぐん)の金刀比羅宮。その最大の特徴は、御本宮まで続く長い長い石段です。参道入口から御本宮まで石段の数は785段(奥社まで行けばなんと1,368段)。登るのはもちろん大変ですが、ここには登った人たちを皆笑顔にする何かがあります。
私と夫も階段を登ることにしたのだが、その時、私は忘れていた。
夫は、学生の頃には運動部に所属していた元・スポーツマンのインドア派。かたや私は、学生の頃からガッツリ文化系の部活に所属していた本格的なインドア派。
夫が順調にポイポイと階段を登っていくのだが、私は足がどんどん重たくなっていき
「もうこれ以上、足を動かすのは無理!1cmの段差も上がれません!!」
という状態になってしまった。
すると、夫が手を差し出してくれた。
夫の手を握ると、ゆっくり引っ張りながら夫が歩きだす。
手を引っ張ってもらうと、さっきまでは本気で一段だって登れない、と思っていたはずなのに、不思議とまた階段を上がっていけたのだ。
その時の心持ちや手の感触を、不思議とずっと覚えている。
私と夫と、どんな風に一緒に老いていくのかな?と想像する度に、この時の光景を思い出す。
もちろん、夫が先に歩けなくなるかもしれないし、二人別々に歩いていくことになるかもしれないし、未来のことなんて何も分からないが、こういう思い出があるだけで若干心強く生きていける。
ありがたや、ありがたや。
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