個人ワーク体験記②inインド
1つ前の記事で出した
「I don’t know.」の話、見ていただけましたか?
今回は、「I don’t know.」の話は本当なのか。
「マジョリティーとマイノリティーはこの考えに対して共通認識を持っているのか」
「本当にインドにマイノリティーはいないのか」
「宗教もカーストも人種も言語も個性と思ってもらえているのか」
「マイノリティーに対する差別はないのか」
このことに対する意見をマイノリティーの視点から知るため調査を行いました。
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結果から言うと、
「マイノリティーは存在する」
「少なくとも個性だとは考えていない人もいる」
「マイノリティーに対する差別もある」
というのが今回の調査結果です。
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昨日はLGBTを支援するNGO団体 “Swabhava” に行き、ゲイの方2名とお話をしてきました。
ゲイのVinayは私が事務所に到着すると暖かい緑茶と「こんにちは」という言葉で歓迎してくれました。
初めて日本語話せるインド人と出会って感動。
Vinayは知識が豊富で賢く、日本の天皇の名前や身分階級についても知っていました。
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彼はたくさんのことを話してくれましたが
その中で今回は
①トランスジェンダーへの視線
②LGBTの結婚
③同性愛者の治療
の3つだけ紹介しようと思います。
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まず、トランスジェンダーへの視線です。
トランスジェンダーは
レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)の中だと、特に見た目に変化が表れます。
トランスジェンダーの方々はその容姿ゆえたくさんの機会を失ってしまっています。
例えばVinayによると、インドには約480万人のトランスジェンダーがいるのにも関わらず
・家が借りられない
・ベンガルールの中にはいられない
・仕事が見つからない
などの問題があるようです。
しかもインドは“トランスジェンダーポリシーだけ”が厳しいらしいです。
トランスジェンダーの方たちはその容姿ゆえ厳しいポリシーを設定されているのではないかとVinayは考えています。
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2つ目に、LGBTの結婚についても聞きました。
インドでは同性の結婚は認められていません。
しかし結婚できないと
・遺産相続ができない。
・入院したパートナーの面会に入れてもらえない
などの問題も発生します。
結果、結婚はLGBTの方たちにとって重要な問題になっています。
LGBTの方々の中には自分を押し殺して結婚する方もいます。
そしてその背景にはシークレットパートナーがいることが少なからずあります。
Vinayの例でお話しします。
Vinayは結婚すれば男性として妻ができることになります。
しかし、もう一人ゲイとしての自分ために同性のパートナーを作ります。
このパートナーのことは他の人に隠すのが一般的だそうです。
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3つ目に、Vinayは同性愛者の治療についてもお話ししてくれました。
同性愛者の治療法にショック療法というものがあります。
これは同性愛の矯正治療です。
つまり、同性愛の人に電気ショックを与えることによって異性愛者にするというもの。
その治療の成果は結婚をもって決められるというお話を聞きました。
すごく疑問に思いました。
私はLGBTって精神疾患ではないと思っています。
インターネットで調べると、ショック療法を行うお医者さんの主張については
「同性愛は薬物や酒の依存症と一緒で行き過ぎた欲求であり、嗜好である。
したがって治療によって矯正することができる。」
と書いてありました。
Vinayはこの治療に関して
「患者は治療を受けても変わらない」
「お金を稼ぐためにお医者さんはこのような治療をしている」
と考えを伝えてくれました。
ショック治療は15回で約₹3000(4500円程度)だそうです。
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しかし、たくさんの困難の中でも少なくとも変わっていっていることもあります。
「20年前はLGBTをカミングアウトすることはできなかった。
でも、今の若い子はカミングアウトすることが出来ている。」
「本当に少しずつではあるが受け入れられていると感じている」
Vinayは少なくともそう感じています。
「I don’t know」の話から分かったようにインドの方は受け入れる体制はあると思います。
そして実際に少しずつではありますが、LGBTはインドの方にも受け入れられ始めているという感覚をLGBTの方たちも持っています。
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それも彼ら彼女らが一生懸命に自分たちの考えを発信していった成果です。
ベンガルールで毎年行われている“Bangalore Queer Film Festival”は10年続いています。
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私は、昨日Vinayと話して感じました。
LGBTの人とLGBTについて話したのは初めてだったけれど
私はLGBTって素敵な個性だと思います。
Vinayは異性愛者の男の人にはない柔らかさや気遣いの心を持っていたり、
マイノリティーだからこそどんな方にも優しくできたり、
とっても素敵。
私はLGBTのことを
「先天的に持って生まれた個性」だと感じました。
みんなもLGBTの人と距離があるからわからないだけ。
みんなも話せばきっとわかる。
LGBTの人は怖くもないし、めんどくさくもないし、変な人でもないです。
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