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P.F.ドラッカー+ジョゼフ・A・マチャレロ「プロフェッショナルの原点」

最近読書をしながら思うのが、もしかして、自分は読みたいところだけ読んでしまっているのではないか、ということ。だって、読む本読む本、納得して、そうだよ、私が思っていた通りだよ、と感じてしまうから。この本もそんな風に思いながら読み進めていたのだけれど、途中、こんな文章に突き当たった。

「上司は部下に対して何かを言おうと努力するほど、部下が聞き間違う危険は大きくなる。部下は上司が言うことではなく、自分が聞きたいことを聞き取る」

上司が本の著者で読者である私が部下だと考えると、それは珍しいことではないのかもしれない。では、だとすると、本の時には、思いきり共感しながら読むのに、現実の世界では日々、「私とは考え方が違う、理解できない」とか思うのだろうか、考える。考えの同じであろう本ばかり選んでいるからか、あるいは、仕事の現場においては、考え方という総論的な位置づけではなく、各論の話になるから、そう感じるのか。
この本を読むきっかけになったのは、友人から、上司にドラッカーの本を渡された話を聞いたからだ。私はドラッカーに関しては、実はもしドラ「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」しか読んだことがなかった。この本は本当にすごいなあと思ったけれど、そこから『マネジメント』を読むのはハードルが高そうだな、と考えたことだけは記憶していた。でも友人の言葉をきっかけに何か読んでみたいと思って、ネットを見ていたところ、ドラッカー日本公式サイトというものを見つけた。
ドラッカー日本公式サイト - ダイヤモンド社 (diamond.co.jp)
その中に、「悩み・課題別 あなたが読むべきドラッカー本はこれだ」というページがあった。自分の抱えている課題を選ぶと、おすすめの本が選ばれるというもので、試してみると、私におすすめされたのは、この「プロフェッショナルの原点」という本だった。
ほとんどのページが、上司としてのマネジメントについて書かれているけれど、部下の立場から上司とどう付き合っていくか、ということについても書かれていて、上司も部下もいる立場としては興味深く読んだ。
とある事業について、一番詳細な情報を知っているのは、実は担当。もちろんそれが全体の中で、どのような位置づけになっているのか、などは上司の方が把握していなければいけない。けれど、その事業のポテンシャルを肌感覚で分かっているのは実は担当だったりする。だとしたら担当の方から上司を動かしたいなんてこともあって当然だと思う。
さらに、若い人の方がこれからの社会について感じている部分が大きいと思うので、どんどん若い人の感覚を取り入れないといけない。その観点からも部下である立場が多い若い人に上司をマネジメントするくらいの気持ちになってもらいたいし、それを受け入れる上司であってほしいし、私もそうなっていきたい。
これまでの上司で尊敬している人はたくさんいるけれど、中でもお世話になった人は、私の提案や説明を理解してくれて、自由にやらせてくれた。もちろんダメな時にはダメと言ってくれたし、だからこそ、そうではない時は梯子を外したりしないだろうなあと感じた。
一方で、全部はできないから、優先順位をつけなければいけない時もあるけれど、それも分かってくれていた。

明日のための生産的な仕事は、それらに使える時間の量を上回って存在する。加えて明日のための機会は、それらに取り組める有能な人材の数を上回って存在する。もちろん問題や混乱は十分すぎるほど多い。したがって、どの仕事が重要であり、どの仕事が重要でないかの決定が必要である。

行政は特に、何かをやめることが難しい。けれど、これは行政特有のことではなくて、敢えて「廃棄会議を開く」というページが用意されていることを考えると、企業にとっても同じなのかもしれない。

この本は、見開き2ページで一つのアドバイスがまとめられている。具体的にいうとこんな感じ。

アドバイスのキーワード
アドバイス
アドバイスの説明
「引用文」(出典)
とるべき行動
 ・・・・・・・・・・
身に着けるべき姿勢
 ・・・・・・・・・・
「引用文」(出典)

最初ぱらぱらとめくったときには、最後まで読めるかな、と思ったけれど、読みながら色々なことを思い出しつつ、とるべき行動を考えたりしつつ、最後まで興味深く読むことができた。
それぞれのアドバイスはまとめられ、6つの章と結論になっている。これらをまとめたのは、マチャレロ教授であるとのこと。まえがきの中でドラッカー自身が書いているのが「仕事で成果をあげるために本書を使う読者一人ひとりの行動と姿勢についての覚え書きとその後のチェックこそが、実は本書において最も価値のある部分である」ということである。組織は一人でどうこうできるものではない。時間も、構成員も、それぞれが持つ強みも与件であり、それをどう活かすかを考えなければいけないのだ。知識があれば簡単に再現できるものではないからこそ、まずは実践してみたい。

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