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河井孝仁「『関係人口』創出で地域経済をうるおす シティプロモーション2.0 ーまちづくり参画への『意欲』を高めるにはー」

シティプロモーションとは、キャッチフレーズやロゴを作ったり、観光パンフ作り、特産品の推奨、PR動画といったイメージがあるけれど、そういうことをとりあえずやればシティプロモーションとして機能するのか、というと、そうではない。そういう形だけやっている状態はシティプロモーション1.0の状態だと著者はいう。
ちゃんと機能するシティプロモーション2.0は、なぜプロモーションするのか、何をプロモーションするのか、どうプロモーションするのか、が明確になっている状態であるという。
シティプロモーションについて著者は「地域を持続的に発展させるために、地域の魅力を創出し、地域内外に効果的に訴求し、それにより、人材・物財・資金・情報などの資源を地域内部で活用可能としていくこと」であると定義している。ではこれを具体的にどうするのか、なぜ、何を、どうについて、具体的になっていてそれが共有されていて初めて、キャッチフレーズやロゴなどが手段として生きてくる。
シティプロモーションの主役は住民であるとも言っている。その住民や関係人口の「地域推奨意欲」を高めること、それが行政の役割であり、「地域の編集者」にも言い換えられるという。そのために地域のこと、どんな人たちがどんな活動をしているか、どんなところに関心が寄せられているか、情報を集め、理解し、見せていく、ということなのだと思う。
うちの市の場合だと、地域活動を推進する部署もあれば、公園愛護や道路愛護、清掃活動などの団体を支援する部署もある。またまちづくりの支援をしている部署もある。もちろん行政とは関係なくいろんなことをやっている団体もあるだろうし、一方でそれを発信している人たちも様々だ。以前だったら、紙媒体で活動の発信をしなければいけなかったけれど、ウェブサイトを作ればもっと広く発信できるし、さらに今はSNSを使って低コストで魅力的なことを発信したり、その情報をシェアしてもらったりすることもできる。実際にそういうページやグループを作っている団体もある。想いの込められた言葉で、自分も一緒にやってみたい、参加したいと思うようなことを発信していて、それ自身が、地域推奨意欲を既に高める存在になっているという気もする。
そんな中で、行政は、シティプロモーション部門はどんな風に動いていけばよいのか。それが、河井氏のいう、地域の編集者ということになるのかもしれない。
この本、合間にこばやしたけし氏のマンガが挿入されていて、息抜きというか、良い刺激になっている。こばやし氏は、「地方は活性化するか否か (マンガでわかる地方のこれから)」というマンガを出していて、ここに登場するキャラクター女子高生とその女性教師が、河井氏の本文の内容のポイントを押さえた話をしてくれていて、面白い。

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