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アービンジャー・インスティチュート, 金森 重樹,富永 星「自分の小さな『箱』から脱出する方法」

この本を読むのは3度目、読了したのは2度目、そして読みながら、何も身についていなかったな、と認めざるを得ませんでした。
一度目はまだ一番下の娘が2歳くらいだった時、二度目は4歳近くなった時、三度目の今は娘が8歳になっています。
一番最初に読んだとき、あまりに苦しくて、途中で読むことができなくなってしまいました。あまりにそこに書かれていることが自分の身に起きていたこととシンクロして辛かったから。
事例として挙げられているのは、子どもが夜中に泣いたときに、妻が起きないように自分が起きだして子どもを見るべきだと思い、でも結局そうしなかった時に、自分の中にどんな気持ちが起こるか、という話でした。私の夫は比較的子どもの面倒を見てくれる父親ではありますが、でもそれでも、夜中のぐずりには手こずり、結局私がみなければいけないということはよくあります。なので、ある程度は仕方がないと思うのですが、そこと重ね合わせて、こんな風に感じているのだろうか、と想像してやるせない気持ちになりました。しかもこの本を読んでいるのは私であり夫ではないことに、どうにもならない感じを覚えたのです。もしこの本を差し出しても読んでくれないし、読んでくれたとしても、素直に受け止めないだろうと考えました。

二度目に読んだ時は、子どもも夜泣きをしたりはしない年齢になっていたからかもしれません。夜中に気付きながらも起きない父親のところも通り過ぎることができました。さらに、もっと自分の身に置き換えて読むこともできたのです。
けれど、今振り返ると、何も身についていなかったな、と思いました。
つまり、せっかくこの本を読んだ後にも、私は何度も自分の小さな「箱」に入ったまま、ものごとを見ていたのです。というかそもそも、脱出さえできていなかったかもしれません。

箱というのは例えで、要は、周りがよく見えない状態、本質を見抜けない状態ということになるのだと思います。
とはいえ、あらゆることに関して、見えていないというわけではなく、ある人達と接する時には、箱から出た状態で話をすることができていたりするということもあります。
見方を変えれば、心地よいと感じる関係の場合には、箱から出た状態、そうでないのは、箱の中に入っている状態、ということになるともいえます。箱に入っている時は、相手との関係が全てにおいてうまくいかない感じがするものなのです。そして自分が箱に入った状態で接すると、攻撃的になりがちで、相手も自分の身を守るために箱の中に入ってしまうことがあるといいます。

逆に、もし自分が箱から出られた状態になったとしても、相手が箱に入っていることに気付かないと、自分もまた箱に入ってしまうということがあるのだと思います。

二度目に読んだ時は、自分自身が箱に入っていたことを認識しただけでなく、一瞬箱から出ることができたような感覚を覚えました。
けれど多分、本の記憶が消えるころには、すっかり箱の中に戻ってしまっていたのだと思います。
なぜなら、自分が箱から出られた状態であったのに、相手が箱に入っていることに気付かなかったからです。相手の言うことから自分の身を守るために、自分も箱に入ってしまったのだと思います。

三度目に読むことで、ようやくここまで気付くことができました。

さらに、自分は親や家族との関係で箱に入っていることはあっても、仕事の上では問題がないと考えていました。
けれどそれも、間違っていたことに気付きました。
何人か、とても苦手な人がいます。
その人たちに対しては、やはり箱に入ってしまっていたのだろうな、と気付きました。

自分の気持ちや、自分の身の周りの人、職場の人のことを考えながら、この人は箱に入っているな、この人はいつも入らない、というのが見えるようになりました。
例えば娘は、どんな時にも私に対しては、箱に入ることがありません。これから変わることもあるかもしれませんが、入っていないと感じます。でも、次男は箱に入っている時があります。どちらが先かは分かりませんが、私も次男に対して箱に入ることがあります。夫も同じような感じです。
そして、私の母親は、私が小さいころから、常に箱の中に入っていたな、と思いました。
ですが、自分が箱の中に入らないように、自分がした方がよいと思うことをスキップせずに丁寧に積み重ねていくと、箱に入られてしまうことが減るような気もしたりしました。特に相手が箱に入っているな、と感じた時の方が注意が必要です。

相手の状況を見て、箱に入っているかどうかをまず見極める。そして、相手が箱に入っているな、と感じた時には、一度心の中で深呼吸をしてから、答えるとよいのかもしれません。

この考え方を本当に身につけることができるのかどうか、あまり自信はありませんが、いつか四度目に読むこともやってみたいと思います。

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