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松下啓一「事例から学ぶ 若者の地域参画 成功の決め手」

何か市民から意見を聞きたいようなイベントを実施すると、なかなか若者は集まらない。集まるのは大抵、リタイヤした人々ばかり。保育をつけても、申し込みはごくわずかだし、そもそも、子育て以前の若者が集まることもあまりない。確かに自分も20代の頃、そういうイベントに行きたいかと言われたら、まったくのところ興味がなかった。つまんない話を聞かなきゃいけない時間はない、とさえ思っていた。
逆に今地方自治体で働く立場に立ってみると、そのことにひどく焦りを感じる。どう考えても、これからの地域を考えていくために、若者の意見を聞かなければいけないのに、興味を持ってもらえない。これはとても深刻なことだ。一方で、そんなにたくさんいるわけじゃないけれど、地域のことにすごく関心を持ってくれる若い人たちもいて、その人たちの話はできるだけチャンスをとらえて聞いているし、すごく得るものが大きい。でもできれば、本当はそうやって積極的に参加したり発信したりしてない人の、ちょっと地域に対するマイナス意見も含んだ声も聞いてみたい。
この本の中ではそういう必要性があって、具体的にどう集まってもらうか、どう継続して参加してもらうか、ということについて、様々な視点から、具体的な手法も含めて書かれていた。特に新しい発見だったのは、自治体公認のポイント制の意義というところだ。ポイント制だけだと、どうかな、と思ったけれど、それは「その人の公共性や社会性を証明するものであるので、若者が就職活動などの様々な機会にも使えるだろう」という記述があったことだ。ポイント制を参加したい人にアピールするだけでなく、地域にもそのポイントが社会性や公共性の証明になるということ、もっといえば、社会性や公共性を持っていることが評価すべきことであり、仕事にも活かされるということを認識してもらわなければいけないと思った。
その他にも様々な事例や、社会学の知見に裏付けされたアイデアが記載されていて、色んなことを取り込んでみたい。

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