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若林恵・責任編集「次世代ガバメント 小さくて大きい政府の作り方」

小さくて大きい政府、そんなものが作れたらどんなにいいだろう。行政職員はぐんぐん減らされている。財政負担も今後現役世代の減少と社会保障費の増大、公共施設・インフラの更新費用問題で目に見えて重くなることが分かっている。一方で「自己責任」では片づけられない課題も増えていて、どうにかして対応していかなければならない。
それを解決できる可能性があるのは、デジタルテクノロジーだという。
ITテクノロジーは、ミニマムなコストや人員で最大のサービスを提供することを得意としている。例えばフェイスブックは2万人で15億人が使うプラットフォームを制作し運営している。一方で、日本には公務員が地方だけで200万人以上いる。人手不足の現状であるが、増やすのは難しい中で、いまいる人手でどれだけ効率よく、さらに増えていく仕事をこなすことを考えなくてはいけない。もしアプリを通じて回覧板の代わりにお知らせが届いたり、選挙の投票ができたりしたら便利だろう。じゃあ使えない人はどうするか? コペンハーゲンでは、若者に地域の老人たちにデジタルスキルを教えさせることを実施した。これにより若者のデジタルリテラシーも向上したし、人に教えることで自分に対する自信や誇りを育むことができたという。同時に老人たちと地域コミュニティのつながりをもたらしい地域の安全性が高まったという効果もあった。
全体を通して、様々なアイデアがちりばめられていて、何かできないだろうかという気持ちになった。新しいことを始めようとすると、不安もあるし、課題も見つかるだろうけれど、もう限られた人員と財源の中でやっていかなければいけない以上、覚悟を決めないといけないこともあるのだろうなと感じた。たくさんの事例は、やむをえない状況の中で始まったこともあり、そう考えると、この大変な状況は逆に大きくやり方を変えるチャンスになるのかもしれないとさえ思えてくる。

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