3年前、野犬になった

3年前、とある金融機関に就職した。まずは窓口に配属。

信じられないかもしれないが、ずぶの素人が窓口にいる。山中に置き去りにされた仔犬のごとく、そこにいることさえぶるぶる震えてままならない。そして私の教育法は

究極のオンザジョブトレーニング!

だった。
私の1年目、先輩はじめ普段は事務や検査しかしない上司までもが、あまりの混雑に常に窓口に出ているくらい忙しかった。

そのなか
窓口に立ち、お客様の番号を呼び、内容を聴く。貯金、払い戻し、料金の支払い、税金、送金、通帳の繰り越し…

払い戻しの時にお客様が書く用紙は?税金の端末操作は?手数料は?繰り越すための新しい通帳はどこにある?

聞けない、全く聞けない。何故ならみんなお客様と話しているから。ひとつの数字も間違えないように端末操作しているから。聞いても「その辺の引き出しあけたらわかるから探して!」「そのボタン押したらあとは画面通り!」

仔犬は急いでいるお客様と先輩のざっくりした指示のもとおろおろぶるぶるするばかり。操作がわからなくてエラー音を響かせても誰も助けには来ない。

そこで、どうしたか

野犬になるしかない!

ガルルル!とにかく引き出しをあけまくり、必要な用紙を探す!端末操作は画面とにらめっこしながらすみっこに小さく出てくる指示表示を信じて実行!エンター!!ワオーン!!!

そうして新規口座や定期貯金は完成し、野犬はスキルアップしていくのであった…。

ガルルル…ガルルル…野犬は仕事場で唸りながら、お客様がくればしっぽを振って出迎える。

仕事場にもう味方がいないとなれば、お客様を味方につけるべくかなり雰囲気のいい新人(の皮を被った野犬)が出来上がった。

新入社員の皆さん、あなたも野犬になりませんか☆

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