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ヴォカリーズ


Chère Musique


Ah〜、Uh〜、Oh〜
母音の響きだけで歌う唱法を『ヴォカリーズ』と云います。

作曲家が、ある意図を持って敢えてこのヴォカリーズを指定し、これを“歌詞”だとしている作品もあります。

今ではこれらの母音だけではなく、
La〜、Lu〜、Na〜、Ya〜など子音や半母音がついた母音や、さまざまな“擬音”も、いろいろ含めてヴォカリーズであるという考え方もあります。



これが好きか、またはそうでもないか、歌い手の好みはいろいろだと思いますが、私は大好き!
とても気持ちがイイし、歌いやすいです。


ですがこれは歌い手にとってチャレンジでもあります。
万人に伝わる言葉を使わずに自分だけが分かる言葉で、作品と解釈を伝える、というワザですから。


一番有名なのは、S.ラフマニノフのその名もずばり『ヴォカリーズ 作品34-14』。
そして私が大好きなのは、E.ヴィラ=ロボスの『ブラジル風バッハ』第5番の中の『アリア』。
他にもラヴェルなどいろいろあります。


ポップ、ロック系だと、ポール・マッカートニーの『We All Stand Together』などもその一種だと、私は思います。
これも大好きです。
いろいろな動物の言葉で、人間語に翻訳せずにそのまま歌っている作品。
とっても魅力的ですよね。



私の場合、歌詞があるのにもかかわらず、逆にヴォカリーズで歌いたくなってしまう作品もあります。
そのメロディがあまりにもその時の自分の感性に合っているもの、歌っていてその歌の世界に深く入り込んでしまうもの、などなど。

そんな時には私は、母音も何も決めずに、本当にその瞬間の気分や、声の盛り上がり具合などによって、発音を無意識に変えてゆきます。



以前に教材作りをしていてつい楽しんでしまったのが、映画『ハウルの動く城』の主題歌『世界の約束』。
なんと!谷川俊太郎さんの作詞です。

カラオケが出ているので、それを使って自分の声で歌の収録をしていたところ、どうしてもヴォカリーズで歌いたくなってしまい…。
結局、歌詞での歌とヴォカリーズと、両方録音してしまいました。

で、冷静に聴き比べてみると…!?
ヴォカリーズの方がずっとのびやかで自由で、思った通りの空間を演出できていました。
詞はとっても魅力的なのに、なぜでしょうね。
La ,  Lu ,  Ah , Uh , Oh 無意識にいろいろ使っていました。



今度ヴォカリーズのオリジナル曲を作ってみようかな。


Musique, Elle a des ailes.

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