朗読【林芙美子/恋愛の微醺】

《あらすじ》

恋愛というものの波動にぶちあたると、花が肥料を貰ったように生々として来る。しかしそれは、年齢によって違ってくる。十代の女の恋愛には、飛ぶ雲のような淡さがあり、二十代の女の恋愛には計算がともない、三十代の女には何か惨酷なものがあるような気がする。さらに、既婚であっても男女の恋愛は随分違うのである。
美しくて朗らかで、誰にも迷惑を及ぼさない恋愛は童児たちでなければ望めないことかも知れない。精神的なものがあふれて来るほど、恋愛は悲劇的でものがなしくなって来る。恋愛の微醺とはどこの国へ行ったらあるのだろうか。

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