男性キャストでつくる姉妹の愛憎劇
来年1月〜3月、ひとつの挑戦をしたいと思っています。
姉妹の愛憎劇である『やわらかな鎖』を男性キャストでつくってみる実験です。
「遊びと実験」の番外企画です。
声優・ボイスチューナーの山下亜矢香さんと、アーティスト専門のパーソナルトレーナーのKouさんにもご協力いただきます。
参加者は公募することにしました。
(受付フォームは最後に載せます)
昨年の朗読キネマ『船弁慶』では、静御前と平知盛を能に倣って1人のキャストが担いました。
(朗読能の際も同様です)
静御前は女性、平知盛は男性です。
本キャストは男性俳優(美斉津恵友さん)が、TTSキャストでは女性俳優(いしかわひとみさん)が演じました。
朗読能の際は女性俳優(甲斐田裕子さん)でした。
今年の秋に観た、シルヴィル・プルカレーテ演出『スカーレット・プリンセス』も男女逆転での配役がなされていて、それにも刺激を受けました。
歌舞伎や宝塚など、性別を超えることは珍しいことではありません。
でも、わたしは『船弁慶』以外では積極的に行ってきませんでした。
『やわらかな鎖』は女性の物語です。
主役の「香織(妹)」は、自作の登場人物の中で一番複雑な役だとわたしは捉えています。
外部公演での初演から3人の俳優(中川亜紀子さん、加藤美佐さん、江幡朋子さん)が演じてきましたが、当然のことながら女性です。
対する「史美(姉)」は死産を経験しています。
臨月まで共にした我が子の喪失によって、ある狂気に囚われています。
こちらも過去に3人の女性俳優(あおきさやかさん、こもだまりさん、陰山真寿美さん)が担ってきました。
多くの女性は、毎月血を流します。
個人差はありますが、腹痛と、感情の起伏に振り回されます。
「女性は感情的」という無理解なレッテルにも苦しめられます。
子宮という臓器を持つ者に与えられた苦痛です。
生命を育む神秘という美辞麗句で丸くおさめるには割にあいません。
『やわらかな鎖』は月経の話ではありませんが、女性という生物を語るのに避けては通れない特徴のひとつでもあるので、登場人物の抱えるものと関連がないとは言えません。
男性に女性のことはわかるはずないと考える方もいるかもしれません。
でも、わたしはそうは思わないのです。
毎月1回、臓器の一部を剥がされる感覚。
胎内で、別の生き物が育っていく感覚。
実感はできないでしょう、でも、そういう生き物であることを理解し、寄り添ってくれる男性は多くいることを、わたしは知っています。
同様に、心の病を持つ者のことは、健常者にはわからないと思う方もいるかもしれません。
こちらも、わたしはそうは思わないのです。
道理が異なる者に共感はできないかもしれません。
しかし理解し、寄り添うことは可能です。
これは数々の創作物が証明しています。
この作品において、男性は常に観客でした。
届ける側になってもらうことで、相互理解が深まる気がしています。
男性キャストによってつくられる『やわらかな鎖』は、新たな角度をもって観客に伝わることでしょう。
何より、わたし自身も何か新しい気づきを得られると思っています。
書類選考を通過した方には、面談の際にもう少し踏み込んで物語をお伝えします。
この実験に共に挑戦してくれる、ガッツのある方との出会いを楽しみにしています。
▼遊びと実験・番外企画 参加申込フォーム
受付〆切:12月4日(日) 23:59
※〆切ました。たくさんのご応募ありがとうございました。
また、別の実験を行う女性チームとTwitterのスペースで雑談をします。
この時に質問なども受け付ける予定です。
11月29日(火)22:00より
https://twitter.com/i/spaces/1ynKOaXjXoVJR
いただいたサポートは今後の活動費として大切に使わせていただきます。