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いつまでもあると思うな、馴染みの店

 馴染みの店の閉店は、まるで長年連れ添った友人との別れのような寂しさをもたらす。そんなわけで、今日はその店に顔を出しに行った。スタッフとの別れを惜しむべく、少々飲み過ぎたかもしれないが、最後だからと自分に言い訳しながら。しかし、慣れ親しんだ顔ぶれとお別れをする寂しさは、どんな酒量でも紛らわすことができなかった。

 「いつまでもあると思うな、馴染みの店」という言葉が、今日ほど身に沁みた日はない。いつも「また今度」と思っていたが、その「また今度」が永遠に来ないことに気づかされた。人生において、行ける時に行かなければならないという教訓を得た気がする。

 家に帰ると、家族はすでに夢の中。私は酔いも手伝って、家の静けさが一層深く感じられた。お風呂に静かに入り、静かにベッドに潜り込む。この静寂の中で、今日の出来事を振り返りながら、眠りについた。

 閉店する店との別れは、ただの日常の終わりではなく、ある種の人生の節目のようなもの。友人との別れを惜しむように、私たちは過ごした時間を大切に思い出す。そして、静かな夜の中で、それらの記憶が心を温かくしてくれる。酒の酔いが少し回らなかったのは、おそらくその寂しさが心に深く沁みたからだろう。でも、そんな寂しさも人生の大切な一部。それを噛みしめながら、私は新たな日々へと歩を進めていく。

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