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【先生にエール】家庭訪問で教わったこと

もう35年以上も前。

私は22歳、大学を出たばかりの新米高校教師。教員になれた喜びと、今後の生活への希望に満ち溢れていたのですが…

残念ながら半月も経たないうちに打ちひしがれました😢

40人の生徒の中で授業に参加している生徒はほんの数名。他の生徒はおしゃべりするか、漫画を読むか、寝ているか。

ある時は私が教室に入ると、全員が机を後ろ向けにして座っています。しかたなく後ろの黒板で授業を始めたら、つまらなそうに寝始めます。

またある時は、教室に入ると生徒たちは次々に教室を出ていき、教室が空っぽになります。

私は、「なめられている」と思い、怒鳴ったり出席簿で机をたたいて大きな音を出したり…

今から思うと恥ずかしく、顔から炎が噴き出します。

けれどもその頃の先輩の先生方は、「大丈夫、大丈夫。みんな先生のことが好きやねん。」「今言うこと聞かなくても、先生のことばはあの子らの中に残ってるんやで。すぐに言うこと聞かそうと思わなくていいよ。」と口々にことばをかけてくださいました。

本当はいつ大問題を起こすかと、冷や冷やして見ていらっしゃったのだと思います。迷惑をかけるだけの新人を、温かく見守っていただいたおかげで、私は辞めずになんとか教員を続けてこられたのでした。

2年目になるとそんな私でも担任を任されます。
そうすると家庭訪問に行くことになります(勤務校は高校でしたが、全員の家庭訪問を行う学校でした)。

家庭訪問をすると、学校で見えている生徒さんの姿とは違う姿が見えたり、その生徒さんの生活が垣間見えたりします。

ある生徒さんは、古い長屋の、お風呂もない、トイレも共同の、10畳ほどのひと部屋に、両親と4人の小さい妹弟たちとともに暮らしています。もちろん勉強する場所などありません。

またある生徒さんは、回収した廃品が山積みになっているその奥に、掘っ立て小屋のような家を構えているお家でたくましく生きています。

また、母子家庭で、朝から晩まで働いておられるお母さんが、「息子を何とかお願いします」と、余り布で作った巾着袋をお土産にもたせてくださるということもありました。

一人一人の生徒の生活や保護者さんの思いがわかると、生徒を見る目が変わります。こちらの目が変わると、生徒はすぐにそれを察知してくれます。いろいろな話をしに来てくれるようになり、授業中のいたづらも無くなっていきました。

そうそう、家庭訪問と言えばこんなこともありました。

雨の日に、単車で家庭訪問に回っていて転倒。レインコートは破れるし、膝や肘は擦り傷だらけ。約束の時間に間に合わないので、そのままの格好で訪問し、生徒さんのお家で手当てをしてもらいました。そして、翌日、教室に入ると、教室の黒板に、

「先生バイクでこけて傷だらけ~!家で手当てしてあげたよ~」

と大きな落書き。恥ずかしくて赤くなる私を見て、みんなで大笑いでした。


これから先生になられるあなたへ】

1年目はしんどいと思いますが、2年目になれば格段に楽になりますよ!
仕事量は増えますが、精神的なストレスは半分以下になります😊



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