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『人はどう死ぬのか(久坂部 羊 著)』を読んで考えこんだ話

『人はどう死ぬのか』を読んで、考えこんでしまいました。

「誰も書かなかった新しい死に方の教科書」というキャッチコピーがついています。

筆者の久坂部氏は、1955年生まれの小説家・医師。

大阪大学医学部卒業後、阪大附属病院の外科・麻酔科で研修医をされ、その後、大阪国際がんセンターで麻酔科医、神戸掖済会病院で外科医をされていました。
その頃、がんの終末期医療に熱心に取り組んでおられましたが、それは困難を極め、ご本人自身が追い詰められます。

そんなときに医務官の仕事を知り転職されます。医務官というのは、海外の日本大使館に駐在する医者のこと。サウジアラビア、オーストリア、パプアニューギニアの三か国に駐在されました。

現地でそれぞれの国の終末期医療や死生観に触れ、ご自身の死生観も変化していきます。

帰国後は高齢者医療の現場に入り、デイサービスのクリニックで4年間、在宅医療のクリニックで13年間勤務されます。


本著の目次です

はじめに
第一章 死の実際を見る、心にゆとりを持って
第二章 さまざまな死のパターン
第三章 海外の「死」見聞録
第四章 死の恐怖とは何か
第五章 死に目に会うことの意味
第六章 不愉快な事実は伝えないメディア
第七章 がんに関する世間の誤解
第八章 安楽死と尊厳死の是々非々
第九章 上手な最期を迎えるには

『人はどう死ぬのか』目次

目次を見ていただくだけでどのような内容の本なのかをわかっていただけるかと思います。

私は「死」や「医療」について知らないことが非常に多いということがわかりました。たとえば…

  • 死の直前には「下顎呼吸」が始まる

  • それまで元気だった人が急に具合が悪くなったとき、感染症などの場合は病院に行った方が良いが、病院に行くと悲惨な延命治療を行われるリスクがあるという覚悟は必要

  • 医者は余命を告げるとき短めに言う

  • 死後の「エンゼルケア」で行われること  などなど

私は、自分自身の死については今のところ恐怖がありません。どちらかというと「あちこち痛みや不自由さを抱えたまま長い間死ねないのは嫌だな」と思います。ピンピンコロリがいいな~。

けれども筆者はいいます。

若いときから健康増進に努めてきた人はなかなか死ねず、ピンピンダラダラ・ヨロヨロヘトヘトになってしまいます。医療になどかかったら、それこそ簡単には死なせてもらえませんから、さまざまな老いの苦しみを抱えたまま、人生の最後をすごすことになります。

『人はどう死ぬのか』

辛い現実…。どうしたらいいのでしょう…。

まあ、自分のことなら良いのです。(良くないか)

考え込んでしまって答えが出ないのは、
「家族に万が一のことがあったらどうすればいいのか」
ということです。


私の父は日本尊厳死協会に入っていて、常に「延命処置は希望しない」旨を書いたカードを携帯しています。

それでも、万が一のことがあれば救急車を呼ばない選択は、私にはあり得ません。(今後、訪問医療等を受けることになれば別ですが)

回復の望みがあれば、私は父の治療を望むに違いありません。
けれども、回復の望みがあるのかどうか私には判断できないので、やはり医師の判断を仰ぐしかありません。

そもそも、回復の望みがあれば治療してほしいというのは私の希望であり、父の希望ではないのかもしれません。

しかしそのときに、本人がしゃべれなかったり意識がなかったりすれば、希望を確認することもできません…

尊厳死協会のカードを持ってくれている父は判断をしやすいですが、自分自身も含めて他の家族はそんな準備をしていません。

やはり、万が一の時にどうするか、家族一人一人と相談して記録しておくしかないかな。

これを機に私も尊厳死協会に入ろうと考えています。






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