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公務員→舞台演劇→アルバイトの経済状況と日々のタイムスケジュール


前回の記事から相当の時間が経過してしまいました。
悲しい出来事が多い新年の幕開けとなってしまいましたね。被災された方やそのご親族、関係者の皆様が一日でも早く穏やかな日を過ごせることをお祈り申し上げます。

IT業界への転職記録として始めたこのnoteですが、近頃は少し視野を広げて考えています。今まではIT業界のエンジニアを目指して諸々を学んできましたが、現在は技術者以外の道も含めて再考している期間です。

もしかするとこの選択はある人からすると"逃げ”に見えるかもしれませんし、実際にそうかもしれません。ただ、今この段階に居るということを記しておきたいと思います。



さて、タイトルのとおり今回は私の過去の生活を、経済面と一日のタイムスケジュールの面から振り返った自己紹介的に進めていこうと思います。

こんな方に読んでいただきたい

この記事は
・働き方を模索している方
・芸術を仕事にしたいと考えている方
・フリーターを脱したいと考えている方
・世の中のフリーターが何を考えてどんな生活をしているのか覗きたい方

に向けて書いていきます。


キャリアを振り返る

山あり谷ありの人生

 高卒学校事務(地方公務員)

舞台演劇学校

≪コロナパンデミック≫

フリーランス俳優 兼 アルバイト(体力系)

フリーランス俳優 兼 アルバイト(事務系)

アルバイト(事務系)
【現在】

私の人生は、大卒で大手企業に入ることが理想とされてきた日本においては胸を張れる実績ではありません。公務員を辞め、芸術の道を志した理由は、今後別の記事でお話しできればと考えています。


経験した仕事(?)の比較

今まで経験した仕事(仕事とは言えないものが多いですが)の比較と、それぞれのタイムスケジュールです。

仕事の比較

"余剰体力"の項目を含めた理由は、体力の残量は余暇の生産性を左右するためです。詳しくは後ほど記述します。

それぞれの生活の主なタイムスケジュール
色をつけた部分:その時の本業を除いた生産活動をしている時間


体力の重要度

体力を使う仕事や舞台演劇の稽古をしていた時期の余暇にすることと言えば、ソーシャルゲーム、SNS、YouTubeやNetflix視聴、飲み会ばかり。

振り返ると「怠惰な性格だからそうしていた」というよりも、「体力が尽きたため省エネモードになっていた」ということに気がつきました。省エネモードのスイッチが一度入ると、消費行動ばかりになってしまいます。

思考することには知識や経験以前に体力が求められます。


次のことを、毎日の仕事終わりに2時間実施できるでしょうか。(もちろん家事や食事の時間を除きます。)

例えば ◇転職準備◇
業界や企業の分析をしたり、希望する職業によっては資格取得学習等の準備が必要になります。

例えば ◇引越し、結婚式、子どもの養育費、親の介護についての準備◇
誰かと相談すべき事柄が多い場面では、関わる人数分の事情を考慮し、時間をかけて数ある選択肢から最適なものを選ばねばなりません。


年齢を重ねると抱える責任は大きくなり、何かを選択する機会が増えていきますよね。体力量は年々と低下していくのに反して、その重要度はより高くなっていくことが分かります。

では、それぞれの仕事について少し詳しく書いてみようと思います。



学校事務

給与・安定  〇
おもしろさ   ×
余剰体力   ◎


学校事務 経済面

給与はあくまでも、自身が居住する地域内では生活に困らず、かと言って旅行三昧などの贅沢はできないという程度です。

【出身都道府県におけるデータ】
全年齢年収中央値   350万円以下
地方公務員平均年収  約600万円

※統計情報を曖昧化しています
※参考 日本の全年齢年収中央値 399万円

厚生労働省賃金構造基本統計調査 等

ここで、興味深い記事をご紹介します。

かつては将来安泰だと言われていた職ですが、今ではほとんどの自治体で採用募集をしても定員割れの結果となり、人手不足が叫ばれている状況です。

もちろん少子高齢化という大きな要因はありますが、個人的な感覚としては、SNSの発達によって個人から見える世界の範囲が地域外まで広がったことや、転職が当たり前という時代の風潮も無視できない影響力があると感じます。技術導入に時間を要しDX化が進まない、高齢化や家庭状況の複雑化により個々の状況に合わせた行政サービスの提供に時間がかかる、などの問題もありそうです。

学校事務 おもしろさ(やりがい)

私の性格上、ルーティンワークはつまらないと感じてしまいました。毎年の行事や仕事の規模感にほとんど変動がなく、創発とは真反対の環境です。(高卒採用だったため、はじめのうちから責任ある仕事を振れないという事情もあるでしょう)

また、採用までアルバイト経験がなかった私は、親ほどの年齢の方もいらっしゃった職場の中で仕事上のコミュニケーションを身に着けることがなかなかできず、大変苦労しました。

現在は不明ですが、組織単位での懇親会は多い方だと感じます。学校行事終了後や年度末はもちろん、地区ごとの事務部会(教員は科目ごと)でも定期的に懇親会があります。一つの学校単位、部会単位の職員数は決して多くないため、如何に良好な人間関係を構築できるかは重要です。

学校事務 タイムスケジュールと余剰体力

上のタイムスケジュールのとおり基本的に定時退社が可能で、体力的に余裕がありました。

私の場合は社会人演劇ユニットに所属し、仕事終わりや休日は作品作りに励みました。職場以外の所属コミュニティを獲得できる余裕があることは、今考えると非常にありがたい環境ですね。

公務員の中には職種によっては定期的に転勤があるため、場所に囚われない趣味をお持ちの方にはお勧めの働き方です。



俳優業

給与・安定   ×
おもしろさ  ◎
余剰体力    ×

前提として私が活動していた期間は、コロナ禍がちょうど始まった時期から3年間程度で、パフォーミングアーツの活動が大幅に制限されていた時期であるということを念頭に置いていただきたく思います。

俳優業に関しては収入源が2通りありました。
①舞台の出演報酬
②民間企業からの業務委託


①俳優業 舞台出演 経済面

俳優は貧乏であるという一般認識はほぼ事実です。これには舞台や映像出演のみを活動範囲としている俳優が当てはまり、もちろん私自身もかつてはその内の1人でした。

私が舞台出演とアルバイトのみをしていた頃の1番印象深い貧困エピソードは、空腹で駆け込んだ某牛丼チェーン店にて、並盛りを諦めて小盛りに変更し、大量の紅生姜を乗せて食べたことです。たった数十円ぽっちの、その差額が惜しい生活をしていました…泣

舞台出演の報酬金額は出演舞台の主催団体に大きく左右されます。

多くの小劇場演劇は主にチケットバック制報酬(役者個人が販売したチケット枚数によって金額が決まる)ですが、中には文化庁をはじめとする文化振興組織が設ける助成金や支援制度を利用する作品もあり、ある程度の報酬額が保証されます。規模が大きい公演では、本人の能力やネームバリュー、役によって金額が決まるようです。

舞台役者の生活について、舞台参加スケジュールとチケットバック制の報酬例から想像してみてください。

【スケジュール】
3.5ヶ月前   オーディションを受ける
3ヶ月前    合格通知・スケジュール調整
〜1ヶ月前   稽古(週2,3回/1回あたり3~5時間拘束)
〜半月前    集中稽古(週5,6回/1回あたり5~8時間拘束)
本番当日    仕込み(セット組立、照明設置等)+3日間6公演+バラシ(撤収作業)
拘束期間    約3ヵ月

【報酬例】
販売したチケット数    報酬金額
  15枚以下     1枚につき   500円
  16枚以上30枚以下 1枚につき1,000円
  31枚以上     1枚につき1,500円

例)全6回公演で1公演につき10名ずつ計60名にチケットを販売した場合
       67,500円

【月給換算 22,500円】


学生の仕送り平均金額である月額7.9万円(
教育費負担の実態調査結果 日本政策金融公庫 2021年)を大幅に下回ります。

さらに2〜3ヶ月に1回の頻度で、仮に観劇料が5,000円だとして、同じお客様が毎度来てくださるかという問題もあります。当日まで実際に面白かどうかが不明なものに対し、決して安くはない金額を払い続けてくださる方は果たしてどれだけいるでしょうか。

この問題を解決するためには顧客の新規開拓しかありません。時間的にも金銭的にも余裕のない中で、SNSでの地道なファン獲得や、人脈作りをしていく必要があります。

結果的に本来時間を投入すべき戯曲読解、演技プラン構築、トレーニング、案件獲得が疎かになってしまうということが起きます。


また、少ない報酬の割には技術向上や自己研鑽にコストがかかります。

【支出】 稽古が少ない期間
・ワークショップやボイストレーニング 週1回程度 2,000〜5,000円/回
 有名講師や長期ワークショップはパッケージで50,000円程度するものも
 (参考1参考2
・戯曲購入 1冊100円~2,000円
・観劇 月2回以上 3,000~10,000円

【ひと月あたり支出額約30,000円】
 ※家賃、光熱水通信費、食費等その他生活費は別途

私の場合は、稽古期間中の生活費を事前に稼いでから舞台出演を決めるというような生活を送っていました。しかしその場しのぎに近い生活には無理があり、時間やお金が無いために泣く泣く見送ったチャンスもあります。

私が反省すべき点は、クリエイティブな活動と人脈作り、案件獲得に時間を投入できる環境づくりを怠ったことです。

企業が創業や事業拡大をする際に銀行融資を受けるように、私も舞台演劇の活動を始める前に計画を立て、然るべき機関から(又は家族に頭を下げて)金銭的援助を受けるべきでした。

私に近い立場の方は、上の方法を取り、活動に全てを費やす期限を定め、期間中はアルバイト等の一切の無駄を排除して取り組むことをお勧めします。(息抜きのや人との良質な交流まで完全に断ち切ることは、自身の外界へのアンテナを折ることになってしまいます。芸術全般は社会、人、文化、歴史に通じます。)


①俳優業 舞台出演 おもしろさ(やりがい)

自分が望んで踏み込んだ世界が面白くないわけはありません。

例えば数百年前の海を超えた土地が舞台の作品を取り扱う場合、その土地その時代の気候風土や植生、文化や生活様式、政治、外交、産業、宗教、男女の権利格差等々の理解から始まります。調査や組立が好きな私にとって、戯曲読解や共演者とのによって作品や役の人物を立体化するその過程が1番ワクワクする時間でした。

また、演技や舞台進行には再現性を持たせながら、あたかもその瞬間に役の衝動や行動が生まれたように見せる、という緻密な構成プランを基に演技をすることは非常に面白い時間でした。

舞台作品ごとに新しいメンバーで作業を進めるという点も私の性格に合っていました。


①俳優業 舞台出演 タイムスケジュール(余剰体力)

稽古期間はほとんど時間がありません。稽古がない日でも、雀の涙ほどの出演報酬を補うためにアルバイト三昧。旅行どころか遊びに行く時間(もお金も)がないため、学生時代の友達とは段々と疎遠になってしまいました。

また、生活費のために稽古直前までアルバイトをして自転車移動をしたり、夜遅くまで台詞確認などの作業をしていたため、余暇に他の生産的活動をする体力はありませんでした。


②俳優業 民間企業からの業務委託 経済面・タイムスケジュール

ありがたいことに、活動期間の最後の1年程度はご縁があって民間企業からお仕事をいただくことができました。

・某海外製車両メーカー
 社内接客研修用ビデオ出演 接客社員役 2本
・某海外アパレルブランド
 社内接客研修ロールプレイングパート お客様役 約10回(東京・大阪)

映像出演に関して、映像1本あたりの拘束時間は事前打ち合わせを含めて約4日間。接客研修のロールプレイングパート出演は事前打ち合わせを1回するのみで、あとは当日の相手とシチュエーションに合わせて毎回即興演技をする。報酬は交通費、宿泊費、食事代が別途実費支給で、5日ほど稼働すればひと月は生きていけるくらいの金額でした。

まさか一般企業の研修で、演技力が役に立つとは思いも寄りませんでした。

企業の方にお話を伺ったところ、接客研修でお客様役に俳優を起用する理由は、緊張感による研修効果の向上のためだそうです。一般的な社内接客研修は、普段顔を見合わせている社員同士で店員役とお客様役を交代してロールプレイングを進めるそうですが、段々とテンプレートのセリフをなぞるだけの時間になり、研修の意味を成さなくなってしまうようです。

芸術の道を志す方は作品制作以外にも、ご自身がもつスキルが社会に対してどのような価値を提供できるかをぜひ検討してみてください。



アルバイト

サービス
給与・安定   △
おもしろさ   △
余剰体力    ×

事務(執筆時点現職)
給与・安定   △
おもしろさ   〇
余剰体力    ◎

コロナ禍中はサービス職のアルバイトをほぼフルタイムでしており、制限が緩和されてからは演劇活動と並行していました。2年ほどサービス職のアルバイトを続け、途中から事務職のアルバイトを掛け持ちするようになり、最終的に完全移行しました。


アルバイト 経済面

フルタイムで働いていれば、23区内の六畳一間で生きていくことは可能です。長期的に働いていれば有給も取得可能ですし、コロナに罹患した際も傷病手当金を受給できました。

ただ、当たり前ですが賞与や長期有給休暇(お盆や年度末)はありません。精肉店で肉を買うように、アルバイトは自分の時間を雇用主に対して量り売りします。知識、経験、能力、長期的に勤務する保障など、時間単位の労働力以外に提供できる付加価値が無いため、働いた時間分しか報酬が発生しないことは当たり前です。


余談ですが、ここでまた興味深い記事をご紹介します。


自身の収入を上げるには、個人の価値(能力など)を向上させるか、需要がある(人手不足の)業界または場所へで働く方法があると考えています。円安によって観光大国になりつつある日本のこれからにおいて、冬は北へ夏は南へと、季節労働者的に働く選択肢もありかもしれません。ただし身体が健康であることと、頻繁に環境が変化しても耐えられることが前提です。

私の個人的な考えですが、舞台演劇活動と並行している間は時間調整の自由度が最優先だったためアルバイトで十分でしたが、現在はより自身の付加価値を上げ、時間を切り売りする状態から脱したいと考えています。


アルバイト おもしろさ(やりがい)

・サービス職
相手は毎回異なるもののサービス内容は変化しないため面白さはありません。

むしろ内部の業務の方が自分にとってはやりがいがありました。長く勤めたことにより自然と内部の業務やスタッフ指導をするようになり、最終的に給与等級のS3になりました。自分の指導で他のスタッフが成長したり、他のスタッフが働きやすい仕組みや雰囲気づくりをすることに面白さを感じました。

マネジメントや人事、総務に近い仕事を楽しいと思える方は、正社員登用制度がある企業でアルバイトから正社員を目指す選択肢もありかもしれませんね。

・事務職(執筆時点現職)
専門サービスを提供する中小企業に雇用されています。社員や同僚の学習意欲が高く、みな常に最新情報をキャッチアップして議論が活発に行われる素晴らしい環境です。

また、中小企業の利点として意思決定と方向転換の速さがあり、DX化が推進されています。IT技術が生活や社会に与える影響力の大きさを目の当たりにし、基本的学習と資格取得に励むことができました。


また事務職と一括りにしましたが、希望すれば様々な業務を経験させてもらうこともできました。新しい分野に飛び込みたい方や、固定化された仕事をしたくない方、挑戦する意欲がある方は、ぜひ中小企業を検討してみてください。


アルバイト タイムスケジュール(余剰体力)

・サービス職
余暇の時間はゲーム、ネットサーフィン、飲みに費やしていました。人手不足だったこともあり、繁忙期は半日以上働く日も。(残業代はしっかり貰っています)その時期は職場と家の往復どころか、職場とベッドの往復でした。

・事務職(執筆時点現職)
時々変動はありますが、基本的に定時退社です。平日仕事終わりには週2回のオンライン英会話、英会話が無い日には1~2時間学習、休日は5時間~学習しています。また、通勤等の移動時間に pod cast でニュースを聴く習慣ができ、英語学習も兼ねて日英2か国語の番組を視聴しています。

副次的な効果としては、情報に多く触れるようになったため、異業種の方とコミュニケーションを取ることができるようになりました。

時間と体力があると、中長期的な計画を立てたり、自身の世界を広げることが可能です。



おわりに

ここまでお読みいただきありがとうございました。
フラフラと生きてきた私にとって、生き方を大っぴらにすることは少し勇気がいることです。
だらしないと批判されるかもしれない、もう遅いと嘲笑されるかもしれない。

しかしおこがましい考えかもしれませんが、こんな状況でも諦めずに何とかもがいている存在がいることが誰かの励みになるのであれば、発信することに意味があると思っています。

ご感想、アドバイス、大歓迎です。率直なご意見でも結構です。
もしよろしければ、コメントやスキをいただけますと今後の励みになります。

それでは、また次の記事でお会いできることを楽しみにしています。

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