大正製薬:コリッシュ(治肩背拘急方)
ドラッグストアで販売されている漢方薬・生薬製剤を紹介しています。
今回は、大正製薬から販売されているコリッシュの紹介です。
コリッシュの販売ターゲット
商品名とパッケージからわかるように、コリッシュのターゲットは、
肩こり・背中の痛みです。
肩こりや背中の痛みは、いくつか原因があります。
同じ姿勢していたから、力仕事をしていたからと運動面から原因もあれば、
食べ過ぎ、ストレスに対する防御反応、高血圧、低血圧など血流によるものなど体内(内臓)の原因によるものがあります。
コリッシュはどんな原因がターゲットになるのでしょうか?
これは、コリッシュに配合されている生薬を見るとみえてきます。
コリッシュの基本情報をおさえていきます。
コリッシュの方剤名:治肩背拘急方
コリッシュの方剤名は、「治肩背拘急方」といい、
出典は「中山摂州方」です。
配合生薬は、「青皮・茯苓・烏薬・莪朮・香附子・甘草」
方剤名とは
方剤名はレシピのタイトルです。
例えば、麻黄・杏仁・甘草・石膏 という生薬(材料)で出来上がる薬のタイトルは「麻杏甘石湯」。この麻杏甘石湯が方剤名になります。
ちなみに、麻杏甘石湯に商品名がついているものもあります。
小林製薬から発売されているゴホナースです。
商品名:ゴホナース
方剤名:麻杏甘石湯
出典:傷寒論
出典名とは?
方剤(レシピ)が書かれている「書物」のタイトルです。
出典を知ると、その方剤が使われていた時代、作られた時代、作られた国がわかります。(書物の時代背景など知って置く必要があります)
治肩背拘急方の出典は、「中山摂州方」となるので、
江戸時代の漢方医家が作った処方なんだなということがわかります。
この方剤の使い方は、
浅田宗伯の漢方集(方函)とその解説(口訣)=勿誤薬室方函口訣解説
に記載されています。
コリッシュの情報のまとめ
商品名:コリッシュ 販売:大正製薬
方剤名:治肩背拘急方
出典:中山摂州方
配合生薬:青皮・茯苓・烏薬・莪朮・香附子・甘草
治肩背拘急方の生薬構成
構成生薬
青皮:疏肝理気・消積化痰
烏薬:行気散寒・止痛
香附子:理気
莪朮:行気破血・消積止痛
茯苓:健脾利水・安神
甘草:調和・健脾
生薬から考える治肩背拘急方の服用症状とは?
漢字をみてイメージすると、
◎滞っている気を流す/気の滞りで筋肉が痙攣して痛む
◎消化管につまっている食べ物の滞りを対処
それに伴う余分な痰湿や瘀血を取る。→気血水(津液)の滞りを取る
消化器系の不調が起きて、食べ物が上手く消化されずにいるために痛みが出ている。その痛みが放散痛として背中や肩に出ている。
そもそも、消化器系の不調を起こしているものは、「気の滞り」
この気の滞りを引き起こしているのは、「五臓の肝の失調」
肝の失調は外的ストレスによって引き起こりやすい。
(肝の失調が脾(消化器系)の失調を引き起こす/五行論より)
結果、治肩背拘急方を服用する時は、こんな時
・ストレスによる肩・背中の痛み
・食べた後に引き起こる肩や背中の痛み/胃腸の不調を伴う肩・背中の痛み
治肩背拘急方の伝統的な使い方
勿誤薬室方函口訣解説による
気鬱(=うつ症)がある際に出てくる肩や背中の痛みには即効性がある。
痃癖(げんぺき)がある時は、延年半夏湯を服用がいいよとのこと。
痃癖(げんぺき)とは?
以下のような症状をもつもの
◎腹内にかたまりがある。
◎腹部や脇腹に張りがある。
◎腹痛からの肩・背中への放散痛
内臓(=消化器系)の失調が放散痛として背部痛として出る
この症状は、膵炎予備軍に見られやすい。毎日アルコールを飲む、アルコールを飲むと腹痛や背部痛が出る場合は膵炎の診断が出なくとも膵炎予備軍の可能性があるので、それに伴う肩こり・背部痛なら延年半夏湯の服用はありかもしれない。
治肩背拘急方の使いどころ
生薬から見ても、口訣から考えても
◎ストレスによる肩こりや背中の痛み
よい選択肢になると思います。
西洋薬を飲んでも、湿布を貼っても、
薬の効果が切れると痛みがでるような場合で、
ストレスかかって、イライラしやすい人には選択肢の一つになるかと。
◎内臓失調の放散痛の場合は、
生薬構成(青皮・烏薬・莪朮)から見ると試してみる価値はありそうです。
おわりに
私が勤めているドラストでもコリッシュをおくようにいたしました。
背中の痛みや肩の痛み が 内臓からくるもの、五臓の失調からくるものであることに興味を持ってもらえたらよいなと思っております。
足のつり、関節の痛み、指のこわばり、五十肩 あたりの骨格筋系の不調が、漢方薬を通してみると、五臓の不調、すなわち、生活のあり方や食べ物の不摂生などが見え隠れする ということに意識を向けていけたらという願いの現れです。
湿布貼って、鎮痛剤飲んで終わり!じゃなくて、
ボディ、肉体の慈しむことは自分のDNAを慈しむこと。
脈々と受け継がれたDNAに敬意を払うこと。
なのではないかなと考えてます。
自分の肉体との出会いって一期一会だなと思うと、
愛おしくなります。