中秋の名月 秋の印象が変わった話

少し前、中秋の名月で、満月だった

この二つが重なるのは何年かぶりからしい

ということをLINEニュースで知り、
駅からの帰り道、久しぶりに月を見上げた

その日は曇りだったけど、
ちょうど雲と雲の間にまん丸のお月様が光っていた

ふと百人一首のある歌が頭に浮かんだ

『秋風に たなびく雲の絶え間より
 もれいづる月の 影のさやけさ』

ちょっと嘘。実際に浮かんだのは
 『秋風に』『たなびく雲の絶え間より』『もれいづる月』というフレーズ。
(その場で急いで検索した🤣)

初秋の涼しい風、雲がかった月、その雲によって却って際立つ月の光、その光の清くて美しいこと。

この光景にぴったりだ!!!と思った

この和歌とともに、この歌を初めてみた時抱いた印象が蘇った

今まで、この歌、ピンとこなくて、好きじゃなかった

秋にしては爽やかすぎると思ったから。

秋といえば、わたしのなかでは
寂しい、切ない、みたいな、何かを失うような、そんな雰囲気。
(秋=飽き ともいうし)

だから『月のさやけさ』は、その音の響きと相まって、ちょっと爽やかすぎないかって思ってたんです

※「さやけさ」は形容詞「さやけし」を名詞化したもので、「澄みわたってくっきりしていること」
https://ogurasansou.jp.net/columns/hyakunin/2017/10/17/1364/ちょっと差がつく
『百人一首講座』より

そういう澄んだはっきりとしたイメージは、夏とか冬じゃないかと。

でもあの景色をみて

ああ、秋に歌ったんだなって思えた

体力を奪う暑い夏が終わり、
涼しい風が優しくそよぐ中で見るあの月光はとても『さやけし』だった。

満月だったから、煌々と輝いていて真っ直ぐで明るくて。
雲がかっていたからこそ月影の存在が強調されていた

夜だったから静かで、心地よかった。

秋に澄む

こともあるんだなーっておもった
失うことばかりじゃないんだな

思えば収穫の秋ともいうし、
失うばかりの季節じゃないな


秋に一人になって、澄んだ月をみて、心をリセットする。
手放したものと同じだけの収穫が得られるように。

そんなこともある季節なのかもしれないな

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