カープダイアリー第8302話「ジェット風船解禁のマツダスタジアム、スーパースター共演で首位まで3差」(2023年6月28日)

スタンドの大歓声とともに舞い上がった打球は、レフトコンコース手前のプレミアムテラスで跳ねた。マツダスタジアムがこれほど盛り上がることはなかなかない。2対2で迎えた五回に飛び出した勝ち越しプロ1号3ラン。笑顔でナインに迎えられたのは森下だった。
 
「けっこう飛んでました!はい…」(お立ち台の森下)
 
DeNA先発石田の投じた内角球を完璧に捉えた。目の前で送りバントを決められず矢野が遊飛に倒れたところで朝山コーチから「打て」と耳打ちされた。しかも内角球でくるから、の助言付き。確かに戸柱のミットは内角で固定されていた。
 
 
ファンもメディアも「二刀流」と騒ぐだろう。でもこれまでことあるごとに「僕は野手の方がやりたい、いつも試合に出られますから…」と話す森下にとってはそれも悪くはない。
 
この日(現地時間27日)、海の向こうでは本拠地アナハイムの大谷翔平が「リアル二刀流」を惜しみなく披露していた。投げては6回1/3、4安打10三振の1失点で7勝目。打っては27、28号ソロ2発…
 
カープでは近いところでマエケンがそうだった。2008年9月28日、旧広島市民球場ラストイヤー、その公式戦ラストゲームでプロ1号…


彼らに共通するのはスーパースターの要素を兼ね備えていること。「スマートさ」「明るさ」「発信力」などに加えて一番大事なのは「意外性」。そこに人々は惹きつけられる。
 
5対2のまま森下は六、七回を3人で抑えてお役御免となり、その裏、打線は貴重な追加点を挙げた。
 
先頭の菊池が四球で出るとエンドランのサインで野間は左前打。一、三塁となって秋山が左前適時打を放った。交流戦で際どい試合を経験し続けたから、ベンチワークもいっそう冴える。
 
秋山はこの日、マイナビオールスターゲーム2023のファン投票で6度目の選出を決めていた。セの他部門はすべて阪神勢。価値ある大舞台にカープのユニホームで立つ。それこそ西武時代からの活躍を良く知るプロ野球ファンにとっては「意外」な出来事だろう。
 
1年前のこの日、秋山によると自分の運転する車で東京から広島に移動してきたのだという。パドレス傘下3Aエルパソ退団が発表されたのが6月15日(日本時間16日)。米国内も車移動で、この先まずどうするか?を思案した。レッズを戦力外となってエルパソに合流したのが5月9日(同10日)。短い期間にいろいろなことがあり過ぎた。
 
そこに菊池らからの“誘いの電話”…不安と期待が入り混じる中、日本に戻り新天地目指してハンドルを握る、その時に見た風景や関係者にかけられた言葉などを忘れることはないだろう。
 
NPB歴代最高記録の216安打。「意外性」を地でいく秋山もまた、ファンから高い支持を得ていることが今回改めて証明された。
 
2月のキャンプのころからそれは明らかで「一番よく売れるグッズは新井監督関連のもの」(関係者)という中にあって、選手では栗林と秋山の商品だけがよく売れた。
 
この日の入場者数は2万6857人。もうコロナ前の毎試合3万人を超えるような状況にはない。一方でこの日、4年ぶりに七回のジェット風船が解禁され、スタンドが赤く染まった。コロナ感染が拡大した2020年がルーキーイヤーだった森下にとっても、秋山にとっても初めて目にする風景…
 
今年のオールスター第2戦は7月20日、マツダスタジアムで開催される。その時、首位阪神まで3差、2位DeNAまで2・5差に迫ったチームは何位につけているか?秋山は投票してくれた全国のファンの前でどんなプレーを披露してくれるだろうか?
 

 
 
 
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