カープダイアリー第8293話「DeNAと巨人加速の交流戦、勝率5割フィニッシュ!で手にしたものと浮き彫りになった課題と…」(2023年6月18日)

マツダスタジアムより30分早い午後1時開始の東京ドームには4万929。巨人が1対2で楽天に競り負けた。勝っていれば交流戦Vだった巨人は2位が確定。逆に楽天は逆転Vの可能性を残した。

マツダスタジアムより30分遅い午後2時開始のZOZOマリンスタジアムには3万3186人。DeNA打線が佐々木朗希から4得点。1対1の六回、牧が2本目の適時打を放つと宮崎がライトポール際に13号2ラン。宮崎はシーズン通算打率・374。さすがの秋山もこのハイアベレージにはついていけないだろう。そして宮崎のバット同様、勢いで言えばDeNAが交流戦初Vか…

2004年に近鉄球団が消滅して、さらに8球団1リーグ制に向けて球団経営者側が暴走した球界再編。その愚行を反省して誕生した交流戦だから災い転じて…とはこのことだ。ファンの大きな支持を集める”イベント”として定着した。

あの時“嵐”が吹かなければ、保守的なNPBは未だ交流戦に難色を示していたはずだ。

DeNA(交流戦開始当初から2011年までは横浜)とともに長らく交流戦勝率が12球団の底にあったカープ。

しかし新井監督の下、最終成績は9勝9敗の勝率5割で7位が確定した。緒方監督最終年から佐々岡監督時代の2シーズンで3季連続最下位に沈み、今年も周囲からはいろいろ言われ続けてきた。その逆風をモノともしないタフな戦いぶりがファンを魅了したのは間違いない。

新たな魅力、続々…

昨季、12球団最低防御率に終わった屈辱をバネにパの打者と真っ向勝負した森下、パの打者相手にもスタイルを貫いた九里や床田。3人はいずれも2勝ずつ。ブルペン陣では矢崎や島内。打線では勝負強さを発揮した龍馬、秋山、坂倉や松山、朗希打ちの羽月、攻守に活躍の矢野、ベテランの力松山や田中広輔の活躍…

交流戦チーム打率・238は12球団中位で7本塁打は下から二番目。この日、3万626人が集まったマツダスタジアムでの西武最終戦に4対11で敗れたため、総得点61、総失点76の大幅マイナスになった。

それでも負け越さなかった。ベンチワークとナインの粘り強い戦いが不可能を可能にしたことになる。

5月30日の京セラドーム。山本由伸に8回2安打零封されてスタートした戦いは翌31日、九里の7回1失点ピッチングによって今回の計18試合の傾向が浮かび上がってきた。

勝つためにはなるべく失点を抑える、逆に初戦のように4点取られたら勝てるチャンスがほとんどなくなる…

この戦い方は同一リーグ相手の戦いでも基本になる。せっかく固めたディフェンスを緩める必要はない。ゆえにベンチ入りのメンバーもそのまま交流戦の顔ぶれとなるだろう。

「長期スパン」でのチーム力底上げも目指す新井監督はこの日の交流戦ラストゲームに河野佳と森を起用した。

今の二軍には将来、先発投手陣の屋台骨を背負ってくれそうな人材が極端に少ない。下では短いイニングと先発の両方で調整していた河野佳を先発にぶつけたのも頷ける。

序盤3回ノーヒットピッチングだった河野佳はしかし四回、長谷川に2ランを浴びると五回には三塁打と犠飛で3点目を奪われさらに四番渡部に2ランを許した。要するに通用するのは1巡目だけ。

同じく二軍では力強い投球スタイルで三振を奪っていた森も七回、外崎に“エイ、ヤー!」で投げ込んだ146キロ、初球を左中間スタンドに叩き込まれた。九回にはやはりテスト登板の続いていた中村祐太が渡部に適時二塁打され続く岸には中越え1号2ランを打たれた。

7連敗中だった西武に4発献上は今季ワースト。力が落ちる投手をパにぶつけると、こうなる恐れがあることは分かっていた。しかし、それも必要なこと。打たれた3人は自分たちの立ち位置より遥かに上に一軍レベルがあることをきっちり受け止める必要がある。

「ほぼどのチームも表ローテだったが、選手のがんばりでいい戦いができた」という新井監督の言葉には実感がこもる。自信になるのは間違いない。一方でライアンや戸根のような抹消組は二軍でも苦労している。

開幕前、散々な評価をしてくれた評論家諸氏も、同一リーグの関係者や指揮官たちもここまで64試合とは違った目で見てくるはずだ。

そうなればまたさらにネジを巻いて同一リーグ戦に臨む必要がある。ヤクルト、中日の低迷ぶりは相変わらずだが、巨人とDeNAは他流試合のステージで加速した。首位を行く阪神を含めて上位4チームのゲーム差6。1試合を消化するごとに1勝の重みが増してくる。

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