カープダイアリー第8443話「日本シリーズ未来予想、オリックスの龍馬vs新井カープ常廣羽也斗-坂倉将吾のバッテリー」(2023年11月22日)

オリックスから「西川龍馬獲得」の公式発表があった。もう誰も驚かない。マツダスタジアムで開催されるファン感謝デーや、御堂筋と神戸・三宮で行われるオリックス優勝パレードを翌日に控えて、というタイミングになったから、さすがに本人のコメントはなかった。

「自分は大谷や藤浪と同い年ですが、(僕が)一番凄い選手だと思っています」

2015年12月のカープ入団会見。21歳になったばかりで、大きな可能性を口にしていた若ゴイの目に、広島という池のサイズは小さなものに映るようになったのだろう。

FA宣言締め切りの14日にマツダスタジアムで囲み取材。交渉解禁日の16日にオリックス関係者と交渉、10日と経たないうちに結論が出た。

スポーツ新聞各紙は「4年12億円以上」とか「5年15億円以上」とか「出来高も含めると最長5年20億円以上」などと伝えている。昨季オフ、カープ球団が1シーズン引き留めのために示した額は1億円2000万円、さらにFA流出阻止のために今回提示した額は1年あたり2億円前後の複数年契約。

…勝負にならない。21歳の龍馬が言う通りなら、誰もが驚くような数字をこの先叩き出すはずで“餌”は大きければ大きいほど、自身も大きくなれる。

広島を拠点に展開するネットメディア「ひろスポ!」はすでに10月26日に次のようなヘッドラインの記事をアップした。

「クライマックス・シリーズ終戦…新井監督カープ家族から外れて”オリックスの西川龍馬”になる日…海外FA権取得の九里亜蓮だって分からない…」

なぜか?その時点でオリックスへのFA移籍を匂わせる事実が複数存在したから、だ。その後の鈴木清明球団本部長との交渉で迷うような時期はあったにせよ、心の中では「新たな自分探し」を決めていた。

それは1年前もいっしょ。新井監督の誕生や、森を獲得したオリックス側の事情で移籍話が1年伸びただけ、と考える方が自然だし新井-水本ヘッドのホットラインは常に存在する。

関西弁を操る龍馬にはやはり地元の水の方が合う。“広島風”では本当の力を発揮できない。松田元オーナーまでもが大阪に戻る龍馬に対して番記者を前にしてエールを送った、丸佳浩の時とは正反対の対応だ。逆に言えば、松田元オーナーは龍馬にはさほどの思い入れはない、ということになる。

受け入れ先のオリックスは願ったりかなったり。レギュラーシーズン、100試合以上に出た外野手は中川だけ。頼みの杉本も故障した。日本シリーズでは「ライト森」が勝負手になった。

パ・リーグ3連覇の中嶋監督は安定した投手力を保持しながらも日本シリーズで「あと1本」が出ず岡田阪神に屈した。ゆえに敦賀気比高でも1年後輩にあたる文字通りの「ポスト吉田正尚」加入を歓迎するだろう。

広島では日本一に縁がなかった龍馬にすれば、自分の手でオリックスを日本一に、という明確な目標が立てられるはずだ。 新井カープと交流戦はもちろん大舞台でぶつかる日がくれば、ファンにとってもこれ以上の対戦はない。

12月、また今年もルーキーたちの新入団会見が広島市内である。ひな壇の中央に座る常廣羽也斗、そして侍ジャパンの正捕手坂倉将吾のバッテリーが、龍馬の万能バットに空を切らせる日は来るだろうか…



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