カープダイアリー第8533話「オープン戦開幕で“いっそう高い目標を持って球場に行き、達成して球場から帰るように”が試される」(2024年2月23日)

先頭、田中広輔の打球はいい角度で伸びてライトフェンスを直撃した。風がなければそのまま柵越えだっただろう。Agreスタジアム北谷の右中間方向に広がる海原がキラキラと輝いて見えた。
 
中日のキャンプ地に乗り込んでのオープン戦初戦は、結果的には10対0の圧勝に終わった。安打数も14本と4本。中村健人がチーム1号ソロを左翼越えに叩き込んだ。

スタメン
サード田中広輔
ライト田村俊介
ショート小園
DHジェイク・シャイナー
キャッチャー坂倉
ファースト堂林
レフト中村健人
センター久保修
セカンド矢野


先発した益田は3回37球、無安打2四球無失点。初回の二死一塁で四番・中田翔の懐に投げ込みキャッチャーフライに取るなど、ツーシームで右打者を詰まらせた。

「ランナー出てゲッツーも取れましたし、真っすぐでファウルも取れていましたし、ある程度、自分の真っ直ぐが通用することがわかってきたのですごく良かったかなと思います」

もともと威力十分の球を持ちながら、ピッチングの組み立てで苦労していた。黒田球団アドバイザーからの助言もあって右肘を下げる腕の振りに変えたことが飛躍につながるように…さらに挑戦は続く。

キャンプで取り組んできたことを、開幕を見据え、オープン戦でどう表現するか?

野手では田村俊介がこの日のMOMだろう。対外試合2試合沈黙(8打席無安打2四球)のあと、再びうまく実戦打撃にアジャストした。初回に高校時代に対戦のあった高橋宏斗から先制の適時三塁打をセンター右に放つと、その後も左前打、右飛、中飛、右前適時打と外野に弾き返し続けた。
 
高橋宏斗対カープ打線。2022年シーズンではチーム全体で63打数7安打、打率・111で25三振を喫した。昨季は2度対戦して右腕の1勝1敗、対戦防御率1点台。カウント球にも決め球にも使ってくるスプリットにどう対応するかがチーム共通のテーマだ。

初回の田村俊介はボールカウント2-2からの真っ直ぐをスプリットも意識しながら仕留めると、第4打席までは強引に振ることなく、七回の第5打席、二死二塁の場面でヤクルトから移籍してきた梅野の真っ直ぐをこの日初めて引っ張った。

小園もキャンプでの成果をそのまま試合で表現する打席が増えている。5打席4打数2安打3打点。六回の第4打席でマイケル・フェリスの真っ直ぐを捉えた打球は、ショート頭上を越える低い弾道で三塁打になった。
 
3の2、2打点の坂倉のそうだ。この試合14安打のうち11安打が左打者で“らしさ”が滲み出た攻撃になった。
 
“らしさ”で言えば走塁面でも小園、矢野、久保修が暴投の間にいずれも進塁に成功した。20日にコザしんきんスタジアムで行われたシート打撃では「ワンアウト一塁」のシチュエーションで、投球がワンバウンドした際には一塁ランナーは必ずスタートを切っていた。
 
新井監督の下で1シーズンを戦った選手たちは、自由度を与えられる中でどう動くべきか、をより理解しつつある。

もちろんうまくいかないことも多い。

日南最終日に栗林がナインに投げかけた「質の高い、レベルの高い目標を持って、球場に行くようにしてください!より、いっそう高い目標を持って球場に行き、達成して球場から帰るようにしましょう!」という言葉の意味が今後、本当の意味で試される。

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