カープダイアリー第8389話「由宇練習場、標高200メートルのグラウンドに吹く秋風に思う」(2023年9月28日)

山口・由宇練習場の温度計は正午前、29度を表示していた。だが、標高200メートルを超えるグラウンドには広島市内にいる時に感じるような暑さとは違う心地良い風が吹く。

強い陽射しの下で始まったソフトバンクとの試合は、ウエスタン・リーグのホーム最終戦ということもあって多くのファンが集まった。ケーブルテレビ「ちゅぴCOM」の生中継も入った。

試合は3対1でカープ勝利。二軍戦レギュラーシーズンは残り3試合になった。

先発したのは戸根だった。8月10日の神宮球場を最後に一軍登板がない。

この時の戸根は最悪だった。1対7で大量リードされた七回、展開上はノープレッシャーのはずなのに4点を失った。1イニングで38球も投げた。いきなり連続四球のあと適時打され、村上に3ランを打たれた。。

開幕一軍メンバーに名を連ね、開幕戦でも登板機会があった戸根は一軍戦24試合、21回1/3を投げて1勝0敗5H6HP。三振奪取率4・64は物足りないし何より与四球16が多過ぎる。

二軍成績は11試合、13回を投げて13奪三振といい感じで、与四球4。ただし防御率は4・85だ。

頼みの森浦が安定感を欠き、塹江も迷路に迷い込む状況の中、左のワンポイントとして存分に活躍できる場がいくらでもありながら、戸根は二軍調整を続けている。

現役ドラフト1期生は各球団ひとりずつ指名の12人。阪神大竹、中日細川の成功例が話題になって久しい。

一方でカープのユニホームに別れを告げて杜の都での勝負に挑んだ正隨は、一軍出場1試合のみ、2打席1打数無安打。二軍成績は105試合80安打7本塁打、打率・280と悪くないが“残された時間”はそう多くはないはずだ。

ところで由宇練習場には10年ぐらい前からライト側奥のスペースに飲食の移動式ワゴン販売が出るようになった。

由宇町観光協会内には広島東洋カープ由宇協力会が置かれ、岩国市では地元をあげての様々な協力体制を敷いている。
 
ワゴン販売も地元関係者が行っているが、松田元オーナーがGOサインを出さないとそうはならない。
 
「オーナーに気に入られないと絶対にマツダスタジアムで商売はできない」というのが広島県内飲食業者らの共通認識だ。
 
犯罪行為を“拡散”させ放題のまま、自らの責任を問われることのなかった「ジャニーズ村」と問題の性格は異なるものの、カープ村も“独裁”が様々な弊害を生んできた。
 
正当な企業力を有していても、マツダスタジアムでは「お気に」の立場を獲得しならなければビジネスができない。
 
“独裁”は現場にも様々な波風を立たせる。「戸根が貴重な左腕なら巨人は出しませんよ。ドラフトでも口を出す松田オーナーが戸根を選んだのでしょう」と話す関西球団担当記者もいる。
 
この日、マツダスタジアムではスカウト会議が開かれた。取材に応じた白武スカウト部長は大卒即戦力投手候補を1位指名する方針を口にしたが、これも最終決定者の松田元オーナーの意を汲んだものだ。
 
“初登板”でいきなりCS進出を決めた新井監督の長期政権は必至の状況で、チームを“常勝軍団”化させることが現場とフロント一致の目標となっている。そのためには3年後、5年後を見据えた戦略が必要になってくるのだが、それにふさわしい人材が今どれほどいて、どこをどう補強してきけばバランスよく全体を底上げできるのだろうか…

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