カープダイアリー第8609話「天敵左腕攻略へ、新井監督が放った赤い3本の矢」(2024年5月8日)

甲子園球場は2試合続けて4万2000人を超えるファンで埋まり、しかも2試合続けての接戦になった。

1対1同点の六回、一死からプロ初の二番に入った二俣が12球粘って四球を選び、続く菊池は空振り三振。2試合連続で四番を任された小園は右前打を放ち二死一、三塁。打席には五番末包。前日のウエスタン・リーグ阪神戦で1号ソロを放ち、田村俊介と入れ替えで昇格すると即スタメン!勝ち越しのチェンスでしかも5球目が暴投となり二、三塁…

6球目、捉えたかに見えた打球はレフトノイジーのグラブに収まり、同時にマウンドでは大竹が大きく吠えた。両軍を通じて一番の感情が表に出たシーンになった。

2日前の第1戦が雨天中止となり、前日のマウンドに上がったのは床田と村上。床田は7回と1/3を投げて7安打無失点。村上は7回5安打2失点だが自責0だった。
 
この日は大瀬良が7回4安打1失点、1000奪三振のオマケ付きで今季5試合目にして初勝利を手にした。第1戦からスライドした大竹は6回4安打1失点で、ほぼ互角の投げ合いを演じた。
 
決勝の2点が入ったのは阪神三番手のゲラがマウンドに上がった八回。一死から二股がここでもファウルで粘って7球目で四球を選び、菊池の送りバントで一死二塁として小園がインローのスライダーを右前適時打した。さらに前の打席で悔しい思いをした末包が高目の155キロを詰まりながらも左前適時打した。
 
二回の先制点も、やはり「八番」というしぶい打順に入った中村健の1号ソロだった。最近10試合を見えても”先発が1点以内に抑えないと勝てない状況が続いていた。その条件をクリアした大瀬良もナイスピッチングだったが、二股、末包、中村健の3人で後方支援した一戦という意味でも価値がある。

昨季7度対戦して6勝を献上した天敵は、今季すでに3勝(2敗)をマークしていたが右打者の対戦打率が・299と高く、3本の被本塁打も右打者だった。
 
昨季、1勝7敗1分けと鬼門となっていた甲子園で4勝1敗と白星が先行して、チームの勝率も5割復帰、そして首位阪神まで1・5差。「いい一日だった」と言って移動のバスに乗り込んだ新井監督と本拠地で「新井」相手に思わぬ苦戦を強いられてしぶい表情の岡田監督。両者のパワーバランスが少しずつ変わり始めている。


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