カープダイアリー第8385話「ヤクルト高津監督に今季マツダスタジアム初勝利をプレゼント、10勝到達の小川が残した大切なこと」(2023年9月24日)

試合前のメンバー交換で新井監督は2度帽子を取って高津監督に挨拶した。帽子を取らない“先輩”には意地もあるだろう。自身の“本拠地”でもあるこのグラウンドで今季1勝も挙げていないのだから…

午後2時スタートの横浜スタジアム、DeNA、巨人の注目の一戦は戸郷の完封ピッチングによりワンサイドゲームになった。その時点で3位DeNAとのゲーム差は2・5に開いた。午後6時試合開始のマツダスタジアム一塁側ベンチには追い風が吹いていた。

日暮れ前のスタンドでは、うちわなどを手に暑さに耐えるようなファンの姿はほとんど見られなくなった。屋外スタジアムでもプレーに集中できる環境がやっと戻ってきた。ただ、9月はここまで7勝11敗。この日を含めても今月は残り4試合だから月間勝ち越しはすでになくなっていた。

今季最多の3万1269人が見守る中、しかしカープファンが盛り上がる場面がほとんどないまま2時間58分ゲームが終了した。1対3のスコアでヤクルトにマツダでの今季初勝利をプレゼント。「勝ってAクラスを確定させると同時に2位確保に大きく前進…」というシナリオを、残る4試合で使い回すことになった。

敗因は小川を打てなかったこと。8回103球4安打5三振1四球という投球の前に、三回小園の内野ゴロの間に1点を先制するのが精一杯で、五回から八回まではひとりの走者も出せなかった。

この日まで8試合連続でクオリティスタートに成功していた小川の安定感はホンモノだ。しかも、神宮球場での開幕戦で勝ち投手になったあと4月と5月にマツダスタジアムでは負け投手。「何とかこのマツダスタジアムで1勝…みんなで勝ちたいと思っていました」その1勝が自身3年ぶりの10勝にも重るから高いモチベーションでカープ打線の前に立ち塞がったことになる。

ヒーローインタビューで好調の秘訣を問われた右腕は「自分の中でいろいろトライして、まずマウンドに立つことの喜びを感じながら1試合1試合大事に戦った結果かなと思います」と”優等生コメント”を口にした。さらに二桁到達については「先発投手として大事な数字だと思います」とした。

9勝目を目指してマウンドに上がった九里の方は、先制点をもらった直後の四回に先頭の塩見に死球を与えると、山田、村上の三、四番に連続適時打され試合をひっくり返された。七回には塩見に適時三塁打を許して2点差にされた。7月1日、開幕から13試合目で6勝目をマークしながら、7月からの12試合で2勝止まり。これで二桁勝利は絶望的となった。

床田はすでに10勝しているが、森下も9勝でラスト登板に勝って二桁という状況だ。

当然のことながらクライマックス・シリーズのような短期決戦では先発陣の出来不出来が勝敗を左右する。

前夜の東京ドームで2打席連続ホームランの末包はこの日、空振り三振と内野ゴロ2つ。10試合連続で四番に入った堂林も4タコで、シーズン5度目のファーストでのスタメン出場となった坂倉の2安打がなければ、さらにお寒い状況になっていた。

打線は水もの。勝てる可能性を追求するならまず先発陣の安定感、そしてブルペンン陣の奮投と勝負強い打撃力、効率の良い攻撃力…

小川の言う「マウンドに立つことの喜びを感じながら1試合1試合大事に…」の思いは、長いシーズンを納得のいく内容で乗り切れば何物にも代えがたい達成感につながっていく。

ただヤクルトには残念なことにペナントレースの先がない。クライマックス・シリーズに進むチームだけに許される日本一への挑戦権。マツダスタジアムでのレギュラーシーズンラスト4ゲームで先発マウンドに立つ面々はどんな「喜びを感じながら」投げるだろうか。

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