カープダイアリー第8372話「満塁のピンチで意地のゲッツー、また満塁で今度は痛打…9月の4連敗でペナントレース終戦」(2023年9月10日)

「きのう村上のいいピッチングを見て、すごく刺激を受けました。あしたは将司が10勝目、してくれると思うんで、またアレに向けて、みなさんがんばっていきましょう!」

お立ち台の大竹がそう呼び掛けてからまる一日、阪神との“首位決戦”第3ラウンドも終わってきれば1対5、また同じような負け方になった。ゲーム差11、優勝マジック5。

五回、ライアンの3カ月ぶりの柵越えでこの3連戦で初めて先制したものの、六回には小園のセカンドでの横の動きから悪送球絡みで追いつかれた。適時打されたのは、またしても森下翔太だった。何度でも同じことが起こる。

同点で迎えた七回、阪神の攻撃が一死満塁となった時、岡田監督がいたずらっぽく笑った。新井カープはそんな相手と戦っている。

阪神とすれば思わぬ勝ち越しのチェンスになった。一死からノイジーと坂本の凡ゴロが2つ続けてショート田中広輔の悪送球によって二、三塁になったのだからたまらない。木浪申告敬遠で沸き上がるスタンド…、五回までノーヒットピッチングを続けながら前の回に同点にされた九里はここまで102球…

すると一度打席に向かっていた糸原がベンチに下がり、打席には97球3安打の伊藤将司がそのまま入った。結果は5・4・3ゲッツーで九里、大きなガッツポーズ!

だが八回続投でもはや九里は力尽きる運命にあったようだ。先頭の近本を歩かせ、中野に送りバントを決められ、森下翔太申告敬遠。大山センターフライでツーアウトまで漕ぎつけながら佐藤輝明にも四球を与えてまた満塁のピンチになった。

「いやいや、まああの回(七回のこと)カモフラージュで出しましたけど、行かないで残ってたんで、3ボールになった時にはもう糸原行くって言ってましたけど…」(岡田監督)

その糸原は今季、九里とは初対戦ながら昨季は11の7、打率にして・636だった。結果はチェンジアップをセンター前に運ばれての2点タイムリー。さらに救援した大道も四球で満塁にしてまた木浪に2点タイムリー。岡田監督の思惑通り、村上、大竹に続く3日連続10勝投手の誕生が確定した。

「きょうはなかなか点が取れなかったんですけど…まあ、伊藤の10勝もかかってるんで、同点でも九回も行かしてくれ言うたんで(笑)、だから代打もいかんかった(笑)。普通なら代打だけど、最後まで行かしてください言うから、もうお前が決めて来い言うてね…」(岡田監督)

甲子園でのカープ戦はこの日が最後で12試合で阪神の負けわずかに2つ。全カードで勝ち越した岡田監督の高笑いが聞こえてきそうだ。

新井監督は敗者の弁として「ちょっとの差だと思うし、その差が大きい」とこの3連戦を総括した。

DeNA、阪神との運命の6連戦に臨む際の心構えを聞かれた時には「どの試合も一緒、1戦1戦…」と答えていたのだが…

実はこの3連戦が始まる前、阪神担当記者のひとりが「ゲーム差7だからカープがどうこう、というようなことを阪神サイドは考えていない。オリックスとの関西W優勝ならデスク業務が大変で、我々の関心はそっちの方」というような話をしていた。

言い換えれば「1勝2敗でいい」としていた岡田阪神は本拠地に余裕で決戦モードの新井カープを迎え、そして3日連続4万2000人超えの空間で床田も森下も九里も力尽きたことになる。と同時に、まるでつながらなくなった打線は、先のDeNAとの3戦目から4試合連続1点止まり。実りの秋を迎えるはずが、9月にあってはならない4連敗となったのである。

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