カープダイアリー第8333話「ウル虎の夏はコイ患いの夏、3戦連続先制許し2点止まりで5試合ぶりカード負け越し」(2023年7月30日)

ウル虎の夏全6戦の最終日も、黄色いスタンドの重圧に圧し潰された。マツダスタジアムでの5連勝も含めて10連勝の勢いで敵地に乗り込んだはずだが、結果は5カードぶりの負け越しで甲子園成績も2勝6敗1分け。コイにはマツダ、虎には大甲子園。マツダスタジアムでの雨天中止分3試合は9月以降で、ここらがどういう状況を生み出すか…

お互いディフェンス重視の“ミラーゲーム”となった今回の3連戦。ならば先制した方が有利に決まっている。

この日の大瀬良も強く意識していたはずだ。先制点を与えるのは御法度。だが、三回に“大きな”1点を献上した。八番の小幡に右前打され伊藤将司の送りバントのあと近本に中前打された。

次打者中野が打席に入り、内野陣はバックホーム態勢になった。8試合連続ヒット中の相手に対して2ボール。ここで9試合ぶりスタメン復帰の菊池と小園の二遊間は狙いで後ろに下がった。

ストライク1球を挟んで4球目。中野はこねるような打ち方でセカンドゴロを打ち、小幡がホームを駆け抜けた。

大瀬良が投げると打線の援護がない。前回登板も中日を7回1点に抑えたが援護点は2点だった。1試合平均の援護点は2点に届いていない。

計算上、1点なら入る。一方で阪神先発、伊藤将司は、この試合前の時点で13試合に先発してクオリティスタート成功12度。

そんな左腕の前に五回まで2安打の打線は六回、ツーアウトからスピード感溢れるカウンター攻撃を仕掛けた。一番小園が中前打で出て二番菊池の5球目でスライディングすることなく二塁に進んだ。その直後、菊池は低目のボール球をセンター前に落としてみせた。

鮮やかな同点劇で試合の流れがどう転ぶか分からなくなった六回裏の守り。ここで大瀬良は森下翔太に2ランを運ばれると佐藤輝明にもフェン直三塁打を許して計3点を失った。

4失点したら勝てなくなる。7月はこの日も含めて8敗となったが3失点負けは1試合しかない。

3点を追いかける八回、今季2度目のスタメン中村奨成の遊ゴロが内野安打+敵失となった。続く八番末包も内角球を詰まりながら中前に落として一、三塁の形を作った。代打曾澤がすかさずセンター前にタイムリー。ワンバウンド打球が伊藤将司の伸ばすグラブの上を越えた。

4月にはバント失敗で二軍降格になった小園が初球で送りバントを決めて左腕を窮地に追い込んだ。

だが阪神ベンチはここで加治屋、島本のワンポイント起用をぶつけてきた。菊池は初球を打ってセカンドフライ、秋山はフルカウントから甘く入ってきたスライダーをやはり打ち上げてショートフライに倒れた。

九回、後がなくなった打線は岩崎の前に四番上本以下、坂倉、堂林がわずか9球で片付けられた。真夏の首位攻防第3ラウンドのエンディングは「あとひとり」コールの中、堂林のバットが空を切るというもので、けっきょく3試合とも2点止まりだった。

そのあと用意されたお立ち台に上がった森下翔太の元気な声が聞こえてきた。

-この3連戦はウル虎の夏ということで、いろいろな力が働いたんじゃないですか?

「ウル虎の夏、サイコーでーす!」

「勝負強いバッティングと打者になるってとこが自分の最終的な目標でもあるので、たまたまそうやって結果が残せているので次も残したいと思います」

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