カープダイアリー第8400話「ポストシーズン、短期決戦を左右するのは投手力」(2023年10月9日)

京セラドーム大阪、午後6時1分開始のオリックスvsソフトバンク。互いに今季最終となる一戦は、引き分け以上で2位が決まるソフトバンクが1対4で敗れた。

それでも4点を追いかける九回、三番柳田空振り三振。四番近藤の初球打ちはレフトスタンドに飛び込んだ。

柳田は打率3位の・299で打ち止め。3割に届かなかった。近藤は2位の打率・303でオリックス頓宮の打率・307には届かず2位。しかしロッテポランコと楽天浅村に本塁打26本となり、85打点の柳田を抑えて87打点で二冠を狙える位置につけた。

なお柳田の163安打、近藤の出塁率・431も共に断トツの数字となっている。

ソフトバンクでは打率8位に中村晃、15位に今宮がいる。八回の一死満塁で今宮が遊ゴロ併殺に終わったことが悔やまれる。

柳田の推定年俸は6億2000万円、近藤は6億円。プレーオフのような戦いで12億円強のスラッガー二人を擁しているチームが勝つとは限らない。ソフトバンクのこの日の敗因は投手陣が踏ん張りきれなかったこと。

頼みの有原が初回に1点を失ったことで後手に回ると、六回には二死から若月に右翼越え6号ソロを許してさらに苦しくなった。八回には100イニング到達目前の和田、さらには藤井が投げて2点を失った。

新井監督ら首脳陣もこの時期、他チームの戦い方にも注目しながら「短期決戦」への備えを進めているはずだ。伯和ビクトリーズとの練習試合では四回から二番手で大瀬良が投げたが、これは仮に先発が序盤で交代するような状況になった際のロングリリーフと考えていい。だが、レギュラーシーズンとは異なる起用法がうまくはまるかどうか、はそれこそやってみないと分からない。

メジャーリーグでは5回戦制のディビジョンシリーズ(地区優勝勝率1位チームvsワイルドカード勝率1位vs2位の勝者、地区優勝勝率2位チームvs地区優勝勝率3位vsワイルドカード勝率3位の勝者)が7日(日本時間8日)に始まった。

ナ・リーグ東地区優勝のブレーブスはレギュラーシーズン30球団中最高の勝率・642を誇るが初戦でワイルドカード1位から勝ち上がってきたフィリーズに0対3完封負けした。

レギュラーシーズン100勝62敗で西地区優勝のドジャースもワイルドカード2位から勝ち上がりのダイヤモンドバックスに2対11で大敗した。

ア・リーグでは中地区優勝のツインズがワイルドカード3位のブルージェイズを2勝で蹴散らしたあと去年のワールドチャンピオンで西地区優勝のアストロズとの初戦に4対6で敗れた。この試合、ブルペン待機だった前田健太はビハインドからのリリーフで2回を投げて2失点だった。第2戦はツインズが取って1勝1敗。

藤浪晋太郎が“謎の”右手と顎負傷で地区シリーズロースターから外れたオリオールズは、1、2戦を落としてあとがなくなった。

ワイルドカード2位から勝ち上がってきたレンジャーズは西地区2位、90勝72敗、勝率・556。受けて立つオリオールズは安定したブルペン陣を最大の武器にしてア・リーグ唯一の三桁101勝61敗、勝率・623。

しかし初戦を2対3で落とすと第2戦も8対11…

現地時間8日午後6時過ぎに始まったこの試合。初回にオリオールズが2点を先制したのに、先発のグレイソン・ロドリゲスが二回に大量5点を失い3つ目のアウトを取れず降板した。

三回には3人目のブライアン・ベーカーが一死から3連続四球。ベンチはたまらずジェイコブ・ウェブにスイッチしたが3-1からの5球目を三番DHミッチー・ガーバーに完璧に捉えられ打球は左中間スタンドに突き刺さった。

ボルティモアの青空にかかる敵軍の満塁アーチ。4万6000人を超えるファンで埋まったスタンドはそのあと水を打ったような静けさに包まれた。

西日に輝くライトスタンド後方の倉軍群に夜間照明が点灯し、やがて日も沈み試合は終盤へ。5対11で迎えた九回、オリオールズの反撃はスイッチヒッター、アーロン・ヒックスの3ランで3点差まで迫るのが精一杯だった。やはり大事なのは投手力。頼みの投手陣がレギュラーシーズンがウソのように四球連発で試合を難しくしている。

メリーランド州ボルティモアはベーブ・ルース生誕の地。首都であるワシントンD.C.外港としての機能を有する重要な港湾都市だ。一方で、米国内では最も古い都市のひとつでもあり、かつてのペンシルベニア炭田の開発や造船鉄鋼業などが1960年代以降、衰退したため人口の流出が続き治安は悪化した。

市では起死回生の一手として30年にもわたる再開発計画を実施した。ウォーターフロント開発の先駆ともいわれる大事業で内港の一新を図ると同時に様々なレジャー施設を配置した。
 
1989年着工、1992年4月6日開場のオリオールズ本拠地、オリオール・パーク・アット・カムデン・ヤーズ(Oriole Park at Camden Yards)はこうしたウォーターフロント再開発の機運を市街地内部へと引き込むことが期待される都市の新たな舞台装置だ。
 
同時に巨大ドーム球場へのアンチテーゼとして「家族みんなで、野球に興味のない人にも楽しめる、古き良き時代の記憶を止めるボールパーク」(オリオールズ関係者)のプロトタイプになった。

「カムデン・ヤーズ」の名称は建設地に以前あった操車場からとった。ライトスタンド後方には19世紀終わりに建てられたレンガ造りの倉庫がそのまま保存活用されている。米国東海岸では最長となる1016フィート(約310メートル)の長さで、ファンはこの建物とスタジアムの間をチケットなしで自由に行き来できる。建物内部には球団事務所のほか、カフェテリア、スポーツバー、ギフトショップなどが入る。
 
鉄道とレンガ作り、左右非対称のスタジアム形状…
 
それらはそのままマツダスタジアムにも引き継がれている。スタジアムにレンガではないがその代替案として茶色が採用されている。レフト側を在来線と新幹線が走るのもそうだ。広島とよく似た風景はスタジアム周辺にも広がる。ライトレールがレンガ倉庫そばを走る。
 
本拠地で追い込まれたオリオールズは移動日を挟み敵地で2試合を戦うことができれば再びボルティモアに戻り第5戦に臨むことになる。

久々のポストシーズンを迎えるマツダスタジアムは青空の下の第1、2戦でどんな戦いを満員のスタンドに見せてくれるだろうか?

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