カープダイアリー第8346話「何度でも繰り返す、森下初回の5連打もそう、決してミステリと言う勿れ」(2023年8月12日)

Jスポーツの実況アナが放送ブースで叫んだ。

「なんと4連打!アウトが取れません森下…、なおもノーアウト三塁、一塁」

お盆休みのスタンドは3万5000人を超える入りとなり、ドーム空間には初回からドラゴンズファンの歓声が響いた。

右手中指にできたマメの影響で中13日の森下その立ち上がり。先頭の岡林に初球真っすぐを右前打された。続く大島の打球にセンター上本が突っ込み、弾いた白球はレフトへ。無死二、三塁から打点部門リーグ4位の細川に三塁線ぎりぎりを抜かれて2失点。続く石川昂の打球も躊躇した上本の前に落ちた。

新井監督の言う「球際」でわずかに及ばず、のシーンが続く。勝てているときは無類の強さを発揮していた「球際」プレー。

さらに宇佐見への初球はチェンジアップが浮いてライト前へ。5連打で3点を失い、なおも大量的の危機に瀕したが、二度送りバントをファウルにした高橋周平を併殺網にひっかけて何とか相手の勢いを止めた。

延長12回、3対3の引き分けに終わった前日のナイトゲーム終了からわずか16時間。午後2時開始のデーゲームの入りもこうしてデジャブのようになった。

同時に前夜、初回に2点を失った野村祐輔は、右ふくらはぎ肉離れの秋山とともにこの日、出場選手登録を抹消されたのだった。

ただ、前夜と違ったのは八回に小園がバックスクリーンに2ランを叩き込んでも追いつけなかった、ということ。2対3惜敗でチームの連敗は開幕時を上回る5に伸びた。中日との4連敗中同士の“決戦”に敗れた代償は大きい。

ミステリと言う勿れ~広島編。

マツダスタジアムで岡本和真に3発、中田翔に300号、長野に御礼弾を浴びたピースナイター…

やはり初回の大瀬良は岡本和真の2ランで失点した。バッテリーを組んだのは坂倉。試合の入りに対する意識が過剰になるきっかけになったはずだ。さらに代打中田翔、岡本和真の連弾をマスク越しに見送ったのも坂倉だった。

8月8日の九里は初回をゼロで乗り切ったあと、しかし二回に四球絡みで3失点。四回には村神様のバットに“野球の神様の思い”が乗り移り20号ソロを浴びた。リードしていたのはこの時も坂倉だった。

9日の森翔平は二回に1点を失い三回に北村の満塁弾などで7失点。坂倉の手作りメモが大事なことでびっしり埋め尽くされる事態になった。

そして10日。床田-曾澤のバッテリーで初回大炎上6失点。極端な投壊傾向は、神宮球場を逃れバンテリンドームナゴヤに移動してきたあとも解消されていない。

球宴明け、後半戦を迎えるにあたって番記者たちがオーナールームを訪ねた。松田元オーナーは「起用がうまい、破壊力がある訳ではないが粘り強い」とご満悦だった。7月18日の話だ。

そして本拠地から後半戦スタート。22日(土)の中日戦に森下が先発、23日(日)が大瀬良で8・6(日)ありきの流れになった。

結果、ピースナイターでの5発被弾で巻き起こった新井カープへの強烈な逆風を、決してミステリと言う勿れ。監督の選手起用法を日常的に「うまい」とか下手とか記者に平気でコメントする球団は、NPBにおいては皆無と言っていい。

もっともオーナーの一存で監督が決まる球団というのもそうそうない、のではあるが…

やはり7月22日のタイミングで一軍昇格となった中村奨成は、ベンチの中にいても打席に立ってもひとりだけ“色が違って”見えた。当然、結果が出るはずもない。まともにフェアゾーンに打ち返せないまま、ピースナイター翌日二軍に戻された。

もちろん8・6の打席には立った。そのために呼ばれていたのだから。

場面は4点ビハインドの五回、大瀬良の代打で先頭打者。まったくノープレッシャー、ただ塁に出ればいいだけのシチュエーションで、メンデスの前に空振り、ファウル、空振り三振に終わったのである。何度でも繰り返す。決してミステリと言う勿れ…

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