カープダイアリー第8352話「残り32試合、首位まで7差…”揺れる”新井カープの行方」(2023年8月21日)

早朝5時過ぎ。広島市内のホテルに多くのタクシーが集まってきた。朝一番の新幹線で巨人の選手らが都内に戻るために使う。午前6時始発ののぞみに乗れば午前10時前には東京に着く。

広島空港からだと7時35分発が最初で羽田着は9時5分。そのあとの移動距離も考えれば新幹線に軍配が上がる。

広島市中心部から約60キロ。そんな不便な場所に1994年、広島アジア大会前に開業した広島空港は、政治力によって真なるニーズが捻じ曲げられた。広島市内にあった旧空港の拡充が正解!お盆はさすがに賑わっていたが、普段は閑古鳥が鳴いている。

カープナインも新幹線移動で横浜入りした。レギュラーシーズン、残りは32試合になった。

首位阪神までは7ゲーム差。残り試合が30試合を切ろうとする中でカープが2位につけ、逆転優勝したケースは過去3度ある。

1984年と86年、古葉野球とその遺産が効いた黄金時代と山本浩二監督の第一次政権下の91年。ただし7ゲーム差から、となると優勝確率は0パーセントだ。

阪神とは直接対決7試合を残しており全勝は非現実的としても6勝1敗ならゲーム差2まで詰めることができる。

だがそのためには他球団との対戦も1試合もおろそかにできない。まさに新井監督の言う「1試合1試合」のフェーズに入ってきた。

カープ球団では前日20日にマツダスタジアム内でスカウト会議を開き、広陵の真鍋慧ら指名候補の高校生を31人まで絞り込んだ。当然、松田元オーナーが会議を仕切る。

この日、山口県岩国市の由宇練習場ではウエスタン・リーグ、中日戦があり1対13の惨敗だった。中日には開幕から2分けを挟んで12連勝!現時点でも中日は勝率3割ちょっとで最下位ひとり旅だが、その相手にこのスコアはないだろう。

先発のコルニエルが乱調で、救援した坂田も火に油で1イニング8失点となった。

ナックルボーラー坂田の指名をプッシュしたのは松田元オーナー。入団当初は話題になったが結果は出ていない。
 
カープ球団では昨年10月、OBでナックルボーラーだったジャレッド・フェルナンデス氏をみやざき・フェニックスリーグ期間中の臨時コーチとして翔平して坂田の指導役になってもらった。育成ルーキーに特別な配慮。それでも2シーズン目の終盤を迎えて迷走が続く。

開港当初は空港周辺に巨大はオフィス群などが張り付くとされた周辺の土地にはペンペン草が生え、国際空港に見合うような風景は何ひとつ確認できない。莫大な国費を投じた広島空港は大失敗に終わった訳だが、だからと言って責任者出て来い!とはならない。泣きを見るのは広島県民と利用者だ。

似たようなことはプロ野球界でも起こる。三木谷浩史オーナーが“やりたい放題”の楽天は、グループ全体の財務状況が今や危機的となり、解体へのカウントダウン…の声も聞こえてくる。

プロ野球興行の栄枯盛衰もトップ次第。そして泣きを見るのはファンや地元の人たち。2004年の球界再編では近鉄球団が消滅した。当時、巨人オーナーとして再編を主導した渡辺恒雄氏はNHK特番「独占告白 渡辺恒雄 ~戦後政治はこうして作られた平成編~」の中でこう話していた。

「こっちは今まで現状維持で何も困らない。困っている人たちのために一肌脱ごうと思っているの。だけどもあれだけ反対で潰されてやられるとね(球界再編は)面倒くさくなるわな」

周りの声に耳を傾けることはせず、あるいは参考にしてはみるものの自分の理論でのみことが進み、そこに疑いの余地はなし。オーナーとは、現場の実情とは乖離した思考回路を有する人たちのこと、を指すのだろうか…

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