カープダイアリー第8534話「斉藤優汰の剛速球、巨人打線だれ一人空振りせず…で新井監督の“親心”もここまで」(2024年2月24日)

コザしんきんスタジアムのスタンドの空気が、どんどん微妙になっていった。大きな期待とともに拍手で迎えた斉藤優汰が、いきなり延々30分もマウンドに立つことになったからだ。

先発のトーマス・ハッチは2回51球、セカンド菊池のエラー絡みで3安打2失点。だが二番手でマウンドに上がった19歳右腕は、1イニング目だけで打者11人に6安打され四球も2つで球数実に51。途中でタオルが投げ込まれてもおかしくないほどの惨状となった。

前回、阪神戦先発から中5日。日本一の打線を相手に先発した右腕は3回6安打1失点で初回だけで35球を要した。それでも中5日で、阿部監督の下でハイレベルの競い合いを続ける巨人打線相手に出番となった。松田元オーナーの強い意向が働いていることが容易に推察できる。

鉄は熱いうちに…とは言うものの、今の力量と求められるレベルとの間に差があり過ぎる場合には、何度やっても結果は同じかあるいは逆効果…

阪神戦では述べ10人の左打者と対戦して一度も空振りを奪えなかった。この日は述べ12人の左打者と対戦して、空振りが取れたのは吉川尚輝との1度目の時だけ(空振り三振)で球種はスライダーだった。さらに吉川尚輝との四回の2打席目はカーブで見逃し三振…。一方で、オコエ瑠偉、岡本和真、萩尾匡也の3人の右打者を含む巨人打線は、一度たりとも真っ直ぐを空振りしてくれなかった。
 
斉藤優汰vs巨人打線

1イニング目
三番・門脇誠…真っすぐ3球ともいきなりボール、球速は150キロ超え、このあと151キロストライク、151キロストライクでフルカウント、6球目も152でキロファウル真っすぐ5球を見た門脇誠は最初のスイングでコンタクト、7球目の真っ直ぐ流されて低い弾道の打球にレフト中村貴浩飛び込むが捕球できずヒット


四番・岡本和真…2ボールからの3球目で門脇誠二盗、石原貴規の二塁送球ワンバウンド無死二塁3ボールとなって、カーブでストライク3-1からの148キロ抑え過ぎて四球、岡本和真に代走・秋広優人


無死一、三塁で五番・大城卓三…カーブと真っすぐで2ストライクナッシングからボール球2つ、5球目148キロファウルのあと6球目スライダーをセンター返しされて門脇誠生還、1失点目、大城卓三に代走・岸田行倫


無死一、三塁で六番・吉川尚輝…初球144キロストライク、2球目ワイルドピッチで無死ニ、三塁、このあとボールとファウルでボールカウント2-2から145キロボールでまたフルカウント、6球のスライダーがチェンジアップのような形になって空振り三振


一死ニ、三塁で社会人ドラ3ルーキー、七番・佐々木俊輔…真っすぐストライクと真っすぐボールでボールカウント1-1からスライダーを投げたら完全に捉えられてレフトオーバー2点二塁打、風がありレフト中村貴浩の打球の追い方にも難あり、これで計3失点


一死二塁で社会人ドラ4ルーキー、八番・泉口友汰…真っすぐ2球ストライクのあとボール球2つでボールカウント2-2、5球目低目の真っ直ぐ捉えられて快音…ライト線に引っ張られて適時二塁打、計4失点


なおも一死二塁で九番、大卒2年目の萩尾匡也…初球カーブはボール、2、3球目真っすぐファウル、4球目真っすぐボールでボールカウント2-2、5球目スライダーもファウル、6球目苦し紛れに投じた高目真っすぐ詰まったもののセンター前ヒット


また無死一、三塁この時点でエンドレス…も続投!一番・松原聖弥…真っすぐストライクとスライダーボールのあとの3球目の147キロセンター犠牲フライになって計5失点


やっと二死一塁で二番・オコエ瑠偉…初球131キロボール、2球目147キロ低目ボールもう力み返って投げている状態、そこを見透かされて3球目の真っ直ぐで萩尾匡也に二盗許す、4球目もボールでストレートの四球


二死一、二塁で打者一巡、門脇誠…初球カーブはボール、2球目145キロファウル、3球目外の真っ直ぐレフト前タイムリー計6失点 、菊地原投手コーチがトレーナーを従えてマウンドへ、問題なしと判断してベンチに戻る


二死一、二塁で秋広優人…初球133キロ落ちる球ストライク、2球目も落ちる球でニゴロ3アウト
 
2イニング目
岸田行倫…初球真っすぐボール、2球カーブが決まって4球目の落ちる球で二飛


吉川尚輝…初球スライダーボール、2球目真っすぐストライク、3球目115キロのカーブストライク、真っすぐボールでボールカウント2-2、5球目落ちる球ファウル、6球目落ちる球ボールでフルカウント、7球目カーブ見逃し三振


佐々木俊輔…3ボールナッシングから148キロストライクのあと真っすぐ3連投はいずれもファウルで空振りしてくれない、さらに真っすぐを投げたら三塁線に詰まったゴロが転がって内野安打


泉口友汰…初球カーブストライク、2球目真っすぐ遊ゴロで3アウト、この回21球計72球

マスメディアの中には「先発ローテ候補」などと報じてきたところもあった。しかし斉藤優汰の一軍帯同の意味はあくまで「育成」主体であり「先発ローテ」入りにはまだ多くの経験が必要だ。

右腕の続投を選択した新井監督も「あのまま終わると彼自身も納得いかないと思いますし、どんどんテンポ良く次のイニングは投げてきなさい、とマウンドに送りました」とコメントしたが、そんな“親心”ももうここまで。

150キロを超える真っすぐでも簡単にアジャストされるような投げ方ではプロの打者には通用しない。極端な話、またゼロからやり直し。二軍で10試合以上に先発して投球回数を奪三振数が上回って初めて「未来のエース」候補となる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?