カープダイアリー第8263話「1500安打のその先へ、まずはシーズン最多安打記録アップデートから」(2023年5月16日)

3万人超え6試合連続となった横浜スタジアムでインタビューを受けたのはホームチームではなく1500安打を達成した秋山だった。DeNAの方はこの夜の5対7敗戦で6連敗となった。

-先制タイムリーを含む4安打2打点大当たりでした!

「そうですね、いいところで回ってきたので還せてよかったです」

-チームとしても11安打、その打線に火を点ける先制タイムリーになりましたね。

「そうですね、ピッチャーも先週よく頑張ってくれていましたし、先に点が取れて、いい流れで勝てたと思います」

-2打席目もタイムリーヒットになりましたが、そのあと第3打席、内野安打で日本球界節目の1500安打を達成されました!(スタンドから歓声)スタンドからもおめでとうという声が飛んでますが…

「そうですね、地元が神奈川ということで、この二週間大変なロードなんですけど、思い出に残る1本になったかと思います」

-終盤、接戦でしたが競り勝ちました。非常にいいゲームでしたね。

「そうですね、中盤打線がね、ちょっと点が取れなくなってしまったんですけど、最後までピッチャーが粘り強く戦ってくれたんでひとつ勝ったのは大きいかなと思います。

-今秋山選手からもありましたが、この二週間、ビジターが続きます。ファンの力も大きいですね。

「そうですね、どこに行っても赤い応援団がたくさんいてくれるんで心強いです」

-そしてきょう4安打ですので日本球界通算1501安打目になりました。まだまだこれから目標があると思いますけど、気が早いですけど2000本安打に向けての思いも聞かせていただけますか?

「いやまだ語るようなタイミングじゃないんで…、きょうは止めときます」

-ただ首位打者争いもしていますし、まだまだ期待しています。

「そうですね、1本打つごとにチームのチャンスが作れるので、それを積み重ねていけるようにがんばっていきたいと思います」

-では最後に3連戦に賭ける意気込みをお願いします。

「ひとつ勝てたので、あした以降また緩めることなく戦っていきますので応援して欲しいと思います」

インタビューのトーンは終始、「球辞苑」トークを100とするなら70%ぐらいの“出力”だった。

マイクを向けた担当者はおそらく経験豊富なはず。個人記録をチーム勝敗の後にもってきたり「首位打者争い」という必須用語を用いたり2000本安打についてはタメを作ってから訊ねたりと聞くべきことをうまく分散させていた。

丁寧に答える秋山もまた岐阜から始まった中日3連戦でわずか2失点だった投手陣を持ち上げるなどして個人記録をなるべく後ろに回そうとした。ある意味、カープ打線vsバウアーの第2ラウンドより面白みのある“攻防”になった。

それぐらいあっさりこの日はメジャー通算83勝右腕を攻略してしまった。

初回、一死から野間、秋山、ライアンの3連続二塁打で2点を奪うと龍馬が5号2ランをライトスタンドに叩き込んだ。二回にも先頭韮澤の左中間二塁打を起点にして3点追加。初顔合わせの5月3日に残された「7回98球7安打1失点」の数字を「2回69球8安打7失点」にアップデートした。

ちょうど1カ月前、4月16日のマツダスタジアム。チームはヤクルト3タテで首位に浮上した。この時、お立ち台に上がった秋山はやはり控え目トークに終始した。

「一瞬でも油断するとすぐに落ちていくんで、毎回その打席に集中してやっていきたいと思いますし、チームはこういう勝ち方になったので、力もほんとについてきていると思いますし、隙を見せずにやっていきたいと思います」


「まだ始まったばかりです。ほんとにいい空気だからこそ閉めるところは閉めて、しっかりしたプレーをみんなでやっていきたいと思います」
 
だが、そのあとチームは7試合で2勝5敗と失速した。「一喜一憂しない」のが新井カープの主たる方針ではあるが、秋山はそのことを誰よりもよく理解している。
 
ところで、ほとんどのネタが網羅されたこの日のインタビュー中で唯一、足りなかったものを挙げるなら「秋山選手はチームでただひとり開幕からフルイニング出場ですね!」だろう。
 
新井監督の下でこの日、対バウアー通算3の3をマークした韮澤に代表されるように、野手・投手とも今季、新たな芽が次々に顔をのぞかせている。日米で百戦錬磨の秋山もまたその中のひとり…
 
開幕から35試合55安打、1試合で1・57安打。143試合なら224安打。西武時代の2015年にマークした216安打のNPB歴代最高記録を自ら更新するペースとなっている。それは最多安打のタイトル4度のバットマンだけにしか分からない、想像を絶するストイックな世界…

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