カープダイアリー第8574話「大雨予報のマツダスタジアム午後1時過ぎ中止発表から分かること」(2024年4月3日)
広島市内は朝方から雨になった。予報通り。正午からの降水確率100%、午後6時から80%。夕方になってわずかに雨雲のない地域が出てきそうなレーダー予想ではあったが、天気は西から崩れる。山口県も一緒だったから雨は続く。
マツダスタジアムでの、天候による中止発表はたぶん日本一遅い。それは39年間も日本一になっていないことと大いに関係がある。
理由は至ってシンプル、だ。
球団経営もチーム編成も松田元オーナーが一手に引き受けて、もう40年目。オーナーにして社長の言動に物申す者はいない。松田元流、その基本姿勢は”ファンファースト”ではない。「いちいちファンの言うことなど聞いとれるか!」が本音で、巷でうわさされいる通りの“金儲けファースト”だ。
3万人がマツダスタジアムに足を運べば、冠スポンサー料、放映権料、チケット収入、グッズ販売、飲食販売などで2億円前後が球団の懐に入る。試合中止となれば、逆に払い戻しの手間暇など余分な作業、経費が発生する。
だから、どんなに予報が悪くても開門することが通例となっている。遠方からやってくるファンは中止の発表がなければ早めに来て少しでも球場の雰囲気を味わおうとするから当然、落とすお金も増える。
JRとのコラボチケットや飲食がセットになった特殊席のチケットは規程の時間を過ぎれば例え試合が中止でも払い戻しがない。それを納得の上、ファンはチケットを購入しているのだから問題はないが、いたずらに中止発表を遅らせるのはイリーガルな手法だ。
だが仮に「きょうはさすがに中止にした方がよろしいのでは?」という声があったとしても、「それじゃ、お前が2億円稼げるんか?」と言われてしまえばそこで話は止まってしまう。
前任の佐々岡監督の3シーズンは、こうした松田流経営に翻弄され続けたと言っていい。コロナ禍による球団収入激減が“独裁オーナー”色をますます強めていったのである。
2021年7月8日は朝から大雨。昼前にはマツダスタジアムそばを東西に走る大州通りで、延々と続く車両の列がまったく動かなくなっていた。
この地点から東へ約4キロの安芸郡海田町で、JR山陽線などの下をくぐる国道2号線アンダーパスが完全に水没して車1台が水底に沈んだため、一帯は封鎖された。水は引かなくなり大阪・岡山・福山方面から広島市内に入る大動脈が流れなくなった。のちに国土交通省広島国道事務所は「通行止めの方法に問題はなかった」との見解を出したが、排水ポンプでの作業が追いつかなかったのだから大問題だろう。渋滞は朝の7時前から夕方まで続いた。
だが、目で繰り広げられる大渋滞もどこ吹く風?マツダスタジアムではナイトゲームに向けての準備が着々と進めされて予定通り開門した。
この日、大雨によって動きが取れなくなっていたのは、大州通りだけではない。
広島県内のJR在来線、新幹線、高速バス、高速道路、自動車専用道では運休、通行止め相次いだ。午後6時になっても解除されないケースが多々あった。
それでも予定通り、DeNA戦午後6時プレーボール…
雨模様の日には球団に問い合わするファンも大勢いるはずだ。そのやりとりの一部が、明らかになっている。
そして、その内容は驚くべきものだった。
<午後1時ごろ問い合わせたファンのケース>
「高速バスが運休して観にいけないのでキャンセルできますか?」
-公共交通機関は払い戻し対象にはなりません。
<午後4時ごろ問い合わせたファンのケース>
「JRが止まっているけど、今日の試合は予定どおりやるんですか?」
-雲行きとか見ていますが行う予定です。
「雲行きとかじゃなくて、朝から市内に向かうJRが終日運休だって分かっているのに試合をやるんですか?」
-広電やバスは動いていますので。
「JRじゃないと行けない人だってたくさんいるでしょ? そういう人たちのことは考慮しないんですか? 今日に限らず今までも苦情とか沢山きてるでしょう?」
-そうですね、何十件とか、いただいてます。
「何十件? 今まで含めたら何百件じゃないんですか? JRが動いてないから球場に行けない人のチケット代はどうなるんですか? 払い戻しされるんですか?」
-それについては、今、検討中です。
「はぁ? 今ですか? もう午後4時ですよ?試合開始まで2時間でまだ検討中? 市内の会社じゃ、警報が2つ重なると、出勤見合わせするところだってあるんですよ。3年前に大水害があったというのに何も変わらない。改善しようとしない。社長の意向ですか?」
-社長の意向は私は分かりません。
「社長の意向が分からない? そうですか。だったら、あなた方、職員はどう考えているんですか?」
-検討はしていますが、いろいろ難しいことがあり、対応できていません。
「そんなの検討じゃなくて、できない理由を探しているようにしか聞こえません。世の中じゃそれは検討とは言いません。試合中止のことだけじゃなくってカープのファンや観客に対する対応はひどい。スタジアム施設だって社長の趣味で、カバ広場なんか作ってるけど、雨の日にチケットの確認の時に雨除けもないところでお客に傘をたたませるなんてやっているとこ、他の球場で見たことない。チケットの販売方法だってそう。カープはファンや観客のための改善をやろうとしない。ハッキリ言って12球団サイテーです」
―そうですねぇ。
「そうですねぇ、じゃないでしょ。あなた、どう思っているの?」
-私もそう思います。
「12球団サイテーとそう思ってる!?」
-そうですね。
「そんな職場でプライド持って働けるんですか? そんなことでいいの? 経営が怪しい時には「市民球団」とか泣きついて、市民の理解のおかげで公費使って新球場できて、そのおかげで潤ってきたら球団本位で好き勝手して。こんなこと続けてたらカープはそのうち潰れますよ。幸い、新井や黒田のおかげで優勝して、広島でもプロ野球球団の経営が成り立つって広く知らしめることができたから、カープ球団を運営するっていう企業や人はいると思います。別に松田さんじゃなくていいんですよ、カープが広島にあるなら。その時、あなたら、どうなるか分かりません」
-そうですね。
「…。まあ、あなたの形式的というか感情のこもらない話っぷりから、もカープ球団の姿勢というものがよく分かりました。貴重な時間をありがとうございました」
……
では、2024年4月3日はどうなったか?広島県内予報は正午を回っても「ところによっては強い雷雨」や「警報級の大雨に注意」という状況で、それでも午後1時の時点でカープ球団HPに「中止」の発表はなかった。
のちに「雨天中止」が掲示されたが、このタイムラグは松田元オーナーの決定を受けてからのアップ作業となるために生じるのだろう。
39年間、日本一から遠ざかり「12球団サイテー」な現状を打破するために必要なこと、それは新井監督の目指す「ファンがわくわくするような野球」、イコールがファンのために戦う心意気…
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