カープダイアリー第8330話「マツダスタジアムのスタンドに揺れる『勝鯉の10連勝』『本日首位浮上』プラカード、その答えは新井監督だから…」(2023年7月27日)

甲子園では阪神が巨人に苦戦、七回に3点を返しても5対8と敗色濃厚となりつつあった。同時刻、マツダスタジアムのマウンドには栗林の姿があった。6月以降では2度目のセーブシチュエーションでスコアは4対1。そして前日の七回、青木への頭部死球で危険退場になったばかり…

先頭の代打宮本は高津監督のリクエストを経て改めてサードゴロアウトのジャジが下った。続く村上もサードゴロ。アウトカウントが増えるたびにスタンドのリアクションが大きくなり、オスナがセカンドフライに倒れるとスタンドのファンが手に手にプラカードを持ってナインの健闘を称えた。

「祝10連勝」「勝鯉の10連勝」「本日首位浮上」

試合後のインタビューで新井監督は言った

「矢崎も連投でしたし、きのうちょっとああいうことがあったので、彼の中にもいろいろな気持ち、思いがあったと思うんですけど、そこは行ってもらいましたしナイスピッチングだったと思います」

お立ち台には床田、曾澤、堂林が上がった。

床田は7回1/3、97球4安打1失点。昨季の8勝を上回る自己最多の9勝目を手にした。

床田と栗林。事情は異なるがともに戦列を離れ、そして交流戦開幕のタイミングでいっしょにまた一軍に戻ってきた。

ふたりの復帰戦もまた同時で6月2日のソフトバンク戦、マツダスタジアムのマウンドだった。

7月17日の横浜スタジアムでは2対1リードの七回、一死二塁となって床田から栗林にスイッチという印象的な投手交代があった。結果は代打宮崎、空振り三振だった。

栗林はそのあと23日のマツダスタジアム中日戦の九回にマウンドに上がり4月29日(巨人戦)以来となる8セーブ目をあげた。

こうして見ていくと、フィジカル面などで万全でないふたりを首脳陣が絶妙な起用法でアシストしている様が浮かび上がってくる。床田は球宴前ラストゲーム登板から中9日。きっと心も体もリフレッシュして後半戦初戦に臨めたことだろう。

野手のヒーローふたりにも同様のことが言えそうだ。

坂倉の台頭によって出番が限定的となっている曾澤はこの日、床田と今季2度目となるバッテリーを組んだ。

「うまく曾澤さんがリードしてくれた」(床田)だけでなく、打っても五回に先制タイムリー、1対1同点の七回にも二番手の石山から勝ち越しタイムリー。

この3連戦スタメン出場の堂林は二塁打と送りバントで曾澤のタイムリーをお膳立てしただけでなく、八回には2点タイムリーを放って「九回栗林」の策を後押しした。

ピーターズ、高橋、そしてこの日の石川と左腕3人を立て、少なくとも勝ち越しを目指していたであろう高津監督。その目にこの3連戦はどんな風に映っただろうか…ヤクルトは今季マツダスタジアムで底なしの9連敗…

お立ち台の曾澤は「チームの雰囲気」について聞かれると、ベテランらしく堂々とこう言い切った。

「心をひとつにして戦ってます!」

選手と首脳陣とスタンドと、テレビなどメディアを通じて応援している人たちの「心」が「ひとつ」になれる時間と空間を短期間で創出できたのはなぜか?

答えは新井監督だから。そう考えるとこの話は極めてシンプルな落ちになる。

ジャスト90試合消化で首位浮上…

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