カープダイアリー第8433話「新井監督vs井端監督、SOKKENスタジアム3時間6分実りの秋」(2023年11月12日)

新井監督vs井端監督。宮崎市清武町SOKKENスタジアムでの3時間6分は有意義なものになった。

侍ジャパンスタメン
サード佐藤輝明
センター岡林勇希
レフト森下翔太
ファースト牧秀悟
ショート小園海斗
ライト万波中正
キャッチャー坂倉将吾
セカンド門脇誠
DH野村祐希
先発今井達也


カープスタメン
レフト中村貴浩
セカンド矢野
サード林
ファースト末包昇
ライト田村
DH中村健人
ショート二俣
センター久保
キャッチャー石原貴規
先発黒原

広島 001 110 000・3
日本 010 003 110・6

試合終了は午後4時6分。西日の射すグラウンドには公式発表で8000人も集まったファンから熱い声援と拍手が送られ、両監督が言葉を交わし最後は帽子を取って頭を下げた。

強風の中で始まった試合は侍坂倉の先制タイムリーで動き出した。二回、無死一、二塁から万波中正は遊ゴロ併殺打。二死三塁からアウトローの真っ直ぐを強く流した。

打球はサード林のグラブを弾いて内野安打になった。2日前の巨人との練習試合で完封された日本代表にとっては実戦初得点になった。

そうそうたるメンバー相手に先発を託された黒原もよく投げた。3回4安打2三振1失点。ショートバウンドする球が多かったものの、無四球だった。

四、五回を投げた斉藤も向かっていく姿勢を崩さなかった。真っすぐ15球だけで押した四回は見ごたえがあった。

最初の対戦相手は森下翔太。初球で150キロをマークしてボールカウント2-2からセカンドフライ。牧省吾は150キロでセンターライナー、小園は3ボールからカウントを戻して左飛に仕留めた。

五回は死球と四球で球数が増えたが最速152キロのノーヒットピッチングだった。

ふたりは黒田球団アドバイザーから様々な助言をもらっていた。新井監督もそうだが、五輪代表やWBCメンバー招集を経験している人材がチームのトップにいる。「日本代表にはどんな魅力や意味があるのか?国際試合にはどんな価値があるのか?」

大事なのは自分を信じて、決して逃げるような真似はしないこと。それを黒原と斉藤は重圧のかかるマウンドで実践することができた。

新井監督の訓えを受けた野手陣も臆せず向かって行った。三回には矢野が侍先発の今井達也から詰まりながらも同点タイムリー。相手は7年目でこちらは3年目だが同じ25歳。ユニホームが違うだけ、だ。

続く四回には二番手の及川雅貴から二俣が勝ち越し二塁打を左中間に放ち、五回には三番手の松本悠楓から中村貴浩が左翼100メートルのレフトポール際へソロを運んだ。久保と石原貴規、ふたりの右打者がスライダーに翻弄されて連続三振に倒れたあとの初球、アウトローに来たスライダー。左対左を問題にしない見事な一発は強風に乗って余計に保距離が伸びた。外野芝生席に敷物を用意して応援を続けるファンがどよめいたのは言うまでもない。

打線は田村も良かった。4打席2安打1四球。九回には田口麗斗にスライダーを4球続けられる中で右前に弾き返した。

1対3ビハインドとなった日本代表は六回、一死から森下翔太に豪快な一発が出た。打球はレフト芝生席の奥にある木々の中に消えた。

3番手でこの回から登板した小林は先頭の藤原恭大を真っすぐで見逃し三振に仕留めただけに、自信を持って投げ込んだはずだ。その真っすぐを豪快に持って行かれて苦しくなった。

反転攻勢の日本代表は二死無走者から小園の二塁打と万波中正の左前打で加点、さらに一度は交代してブルペンで球を受けていた坂倉が特別代打でライト前に勝ち越し適時打。4対3となって試合の流れが日本代表側に傾いた。

結果的には森下翔太2安打2打点、小園3安打2得点、坂倉2安打2打点。この3人が侍打線の牽引力となっている姿が見えてきた。強化合宿はあすで打ち上げ。中2日で本番のチャイニーズ・タイペイ戦が待っている。

この日、両軍出場選手の中で最年長は田口麗人の28歳。それに続く27歳の末包は遊ゴロ、空振り三振、二ゴロ、遊ゴロに終わった。両軍最年少19歳の斉藤はこの日を貴重な経験とすることができたのだが…

その差はキャンプで取り組んでいる課題をそのまま素直に出そうとしたか、そうではなく必要以上のことをやろうとしたか、の違いだろう。そういう意味では一ゴロ、空振り三振、空振り三振、二ゴロ併殺打に終わった林もそうだ。

そういう意味では侍ジャパンのユニホームがよくフィットしている坂倉と小園の存在が光る。ふたりにはアジアプロ野球チャンピオンシップを通して多くのことを学ぶ場が用意されている。

来季、開幕戦でその姿は大きく見えるようになるのだろう。

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