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ライバルを紹介しまくる落語②

【落語の構造】

ライバルを紹介しまくる落語②

前回までライバルである噺家さん同士が紹介しまくる落語をテーマに紹介しました。
今回は僕の中で最も衝撃的だった紹介しまくる落語を紹介します。

さて、落語には演目のジャンルがあります。ざっくりとですが、

・滑稽噺
・艶噺
・芝居噺
・怪談噺

大枠で4つに分けられると耳にしたことがあります。
ネタの8割が滑稽噺と言われ、残り2割が艶・芝居・怪談の構成らしいです。

これからするお話は、ジャンルのことは関係ありません。(落語豆知識でした)

今日いいたいことは、

落語って、

演目の中で、他の文化芸能をネタにした噺が多く存在しているってことです。

・歌舞伎
・狂言
・都々逸
・百人一首
・能
・相撲
・長唄
・講談
などなど(もしかすると、入ってないものもあるかもです)

他の文化芸能をネタにしているというより、紹介しまくっているんです。

これは、僕の中では衝撃的な事実でした。

なぜか?

わざわざ、ライバルである他の文化芸能を紹介しているからです。
それどころか、紹介しまくるからなのです。

なんだったら、直接ライバルと思われる講談まで紹介をしてます。

それでは、逆のケースはあるのかを考えたとき、

歌舞伎が落語の紹介してる?
狂言は紹介してる?
都々逸は?
百人一首???

ないような気がします(裏とってないのでほんまはあるかもです)

僕は3年前の発表会で「七段目」を演じました。
歌舞伎芝居で仮名手本忠臣蔵のネタです。

めちゃくちゃ面白いネタなんですが、そのとき思ったのが、
「なんで、落語で歌舞伎やねん」でした。

わざわざ他の文化芸能をネタにする意味がわからんと思っていたのです。

ところが、いざネタをやろうとすると、歌舞伎の知識が少ないため、
情報を集めだすんですね。

図書館で忠臣蔵関係の本を借りたり、歌舞伎入門講座にいってみたり、
NHK放映の仮名手本忠臣蔵を何べんも見たり、
文華師匠の寄席で実際に七段目を観たりしました。
(本物の歌舞伎はお財布が干からびるのでパスしました)

すると、自然と歌舞伎に興味が湧いてくるんですね。
「中村屋!」の掛け声に反応したり、眼力が歌舞伎調になったりと、
片足が歌舞伎に入っている自分に気づかされるのです。

気づかされた瞬間、脳天から下穴にかけ、いかずちが走りました!
今でも感触が残っており、思い出すたび下穴がヒリヒリしてきます。

「やられた、これが落語の力か・・・落語にしてやられた・・・」

そのときはじめて、落語とは、他の文化芸能を知るための入口の役割を
担っているのだと、僕は理解したのです。

歌舞伎のことを知り、興味を持ち、調べ、触れ、ハマる、
というストーリーの「知る」入口を落語は担当しているといえます。

現在でいう、マーケティングのポジションです。

かのドラッカーはいいます、

「マーケティングとは、新たな顧客創造だと」(裏はとってません)

ゆえに、

落語とは【顧客創造装置】と定義づけられます。
(ただし、落語の顧客創造は落語自身がやらなあかんのが皮肉・・)

それでもやり続ける落語のふところの深さに僕は魅せられてしまうのです。

それにしても、七段目は演じてて、一番面白かったな。
部屋に入って口上する定吉、若だんさんが嬉しそうな顔をするシーンが一番好きです。
このシーンにビジネスの参考になることが詰まってるよな~


もし刺さる根多でしたら、木戸銭歓迎です。寄席代にして、さらなる刺さる根多を仕入れてきます。