見出し画像

荒木と岩瀬は「日常」だった

土日の休みを使って、愛知へプチ帰省してきた。

目的はただひとつ、ナゴヤドーム最終戦の観戦である。この試合はチームを長年支え続けた2人のレジェンド、荒木雅博・岩瀬仁紀両選手の引退試合となった。

前者は1番・セカンドとして延長11回まで出場し、2安打をマーク。予告していた盗塁は失敗に終わったものの、軽快な守備とともに身体は動けるところを最後まで見せてくれた。

後者はよもやの同点劇でざわついた9回2アウトから登場。同期入団で今は阪神に所属する福留孝介選手を三振に抑え、前人未到の1002登板目を終えた。

自分のファン歴とほぼ変わらない2人が現役を退くだけあって、非常に感慨深い心境を覚えたのだが、実はこの2人のユニホームを買ったことはなかった(引退試合になって買うのもなぁ…と思い、同じ時期に活躍した森野将彦現2軍コーチのユニホームで見届けた次第である)。

なんで荒木選手、岩瀬投手のユニホームを買ってなかったのだろう?と試合を観ながら自問自答したところ、一つの結論が出た。

それは、2人の存在が「日常」だったから。

多感な時期を過ごした落合政権時代、8年間全てで規定打席に到達したのは荒木選手だけ。名将をして「こいつで負けたら仕方ない」と言わしめたのは岩瀬投手だけだ。

自分の嗜好として、左のロングヒッターや本格派左腕を好む傾向があり、派手な活躍をする選手の方に目が行きがちだった(今も多少はある)。一方で荒木選手、岩瀬投手はともに「派手さはないが、地道にコツコツと」キャリアを積んできたタイプ。イケイケドンドンだったティーン〜20代前半の頃は、その尊さを分かりきってなかった。

心境の変化が訪れたのは20代中盤から。フリーランスとして働きの浮き沈みがそのまま生活にも直結するようになって、また会社員になって、結婚もして、30歳に到達して…いつも居続ける「日常」の尊さをひしひしと感じるようになった。

岩瀬投手と福留選手の対戦の際は「これが観たかったんだ」とつぶやきながら、涙が止まらなかった。2人の引退の挨拶で声が震えた時は、もはや嗚咽になっていた。もはや、彼らへの思い入れしかなかった。歳をとって、涙もろくなってしまったのもあるかもしれない。

野球ファンの関心としてはCSやドラフトに向いている(菅野智之投手のノーヒットノーランには驚きました)が、まだしばらく2人がいたドラゴンズを思い返す時間が必要。仕事でも野球に触れるため悠長なことは言ってられないし、明日には新監督の会見もあるみたいだけど、それが偽らざる心境かな。

#日記 #エッセイ #中日ドラゴンズ #荒木雅博 #岩瀬仁紀 #思いのままに

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?