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テレビレビュー『Jimmy〜アホみたいなホンマの話〜』(2018)ストイックな彼らの姿が眩しくて


天才(然)・ジミー大西の半生記

明石家さんまが
企画・プロデュースした
Netflix 配信のドラマです。

芸人・ジミー大西の半生が
描かれています。

ジミー大西は、'64年生まれ、
高校卒業後に吉本興業に所属し、
'82年から活動しています。

同期にはダウンタウンがいますが、
松本人志が
「アイツには誰も勝たれへん」
と言わしめたほどの天才、

いや、天然です(笑)

そんなジミー大西ですが、
吉本興業に入ったのは、

本人の成績の悪さを
見かねた高校の教師が

吉本興業に頼み込んで、
高校生の頃にアルバイトとして
働いていたようです。

入社当初は、裏方として
幕引きや進行を務めていました。

ヘマをすることが多く、
先輩芸人から叱られることも
しばしばでした。

芸人でもなかった当時の
彼を見出したのが、
明石家さんまです。

さんまは、近年においても、
「今までに会った人の中で、
 一番おもしろかった人は?」
という問いに、

ジミー大西の名を挙げるほど、
今でもその実力を
高く買っています。

アホみたいなホンマの話

ドラマでは、
明石家さんま役を玉山鉄二、
ジミー大西役を中尾明慶が
それぞれ演じています。

いずれも本人の雰囲気に
とてもよく似た演技で、
バッチリな配役に感じました。

この他にも、本作では、
さまざまな芸人が登場しますが、

どれもピッタリな
役者さんが演じていて、
芸人好きが観ても
納得できるでしょう。

サブタイトルにもあるように、
本作では
「アホみたいなホンマな話」が
たくさん出てきます。

なにせ、ジミー大西という
稀有な人物を描いているのですから、
そこには奇跡のような話が
語りつくせぬほどあるんですね。

特に印象的だったのが、
さんまが青年時代の大西に、
「ジミー大西」という芸名を
命名する場面です。

さんまは大西がゴリラに似ている、
というので、なんとなく
「ジミー」という芸名を付けました。

その芸名をつけた直後に、
テレビをつけると、

「動物園の人気者だった
 ジミーというゴリラが
 亡くなった」

というニュースが
報じられていたのです。

さんまはジミーという
ゴリラがいることを
知らずに、なんとなくその名前を
つけたのですが、

それがこんな偶然をもたらしました。

これが本作で描かれている
アホみたいなホンマの話の
一端です。

こういう奇跡のような
エピソードがいろいろと
出てきます。

ストイックな彼らの姿が眩しくて

このドラマでは、
毎話の冒頭と最後に
さんまとジミーによる
語りが挿入されます。

このトークの部分も
いい味を出していました。

ドラマ好きの方からすれば、
無駄な部分に感じてしまうのかも
しれませんが、

この無駄な部分にこそ、
笑いの真骨頂があるんですね。

むしろ、あのトーク部分は
不可欠な要素です。

本人たちの解説があるからこそ、
ドラマに真実味が生まれますし、
時代背景がわからない人にも
すんなりと楽しめる作りになっています。

本作の中で、
特に感動的なのは、
エンディングのスタッフロールですね。

エンディングでは、
MISIA の『最後の夜汽車』が流れます。
(甲斐バンドのカバー)

この曲がものすごくいいのと、
バックに流れるのが、
明石家さんま、ジミー大西を
はじめとする

吉本の芸人さんたちの
若かりし頃の姿を
捉えた写真の数々です。

その写真がなんともいいんですよね。

毎回、このエンディングは、
釘付けになって観てしまいます。

お笑い芸人は、
未だに社会的には
認められていない

低俗なイメージがあるでしょうし、
実際、「笑い」をとることを
使命とする彼らは、

そんな評価はこれっぽちも
欲しいとは思っていないでしょう。

「低俗で結構」
「笑いをとってナンボ」

それが彼らの
目指すべきところなんですね。

そして、今日の舞台で
笑いをとっても、
明日には、また新しい笑いを
作っていかなくてはならない、

そんな使命をストイックに
追い続ける彼らが
なんとも眩しいのです。


【作品情報】
2018年配信(全9話)
脚本:大岩賞介
   山浦雅大
   麻倉圭司
監督:光野道夫
出演:中尾明慶
   玉山鉄二
   尾上寛之
配信:Netflix

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