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何も知らない幼稚園の先生
娘が自閉症だと分かったのは幼稚園だが、さてはて、幼稚園での対応はどうだったのか。
答え「〇〇ちゃんは、他の子と仲良くやれてて特に問題ありませんよ」
だけだった。
それを聞いた私は一時的に安堵したものの、不思議だなと思っていた。
家じゃ横暴な面も増えていたし、パニックになると泣きじゃくる。
そんな娘が幼稚園じゃ良い子? 友達と上手くやっている?
まあ、その通りなんだと私は信じた。
しかし、少ないママ友から噂が飛んでくる。
「先生全然子供の様子見てないよ」
ああ、そういうことね、と合点が行った。
とりわけ問題じゃないと思う子は放置している状況だったのだ。
しかも娘は聞き分けがいいので友達と問題も起こさないし、我慢する。
娘より手のかかるお子さんがいて、娘が自閉症であることは先生の頭からは忘れ去られ、出来る子認定されてしまったのだ。
けれど、ママ友ネットによってどうやらほったらかし状態であることが判明。
他にもわずかだが手のかかる子がいるのに、何もしていない様子が浮き彫りになる。そして、娘への対応も冷たかった。
行きたくないと渋る朝、私は幼稚園に電話をするのが嫌だった。(前日遊んで出かけて疲れている時がほとんど。一日休むと翌日は元気)
先生からはズル休みだと言わんばかりの態度を電話越しに取られるので、懸命に『風邪』と言い切るのに疲れていた。電話のたびに「熱は何度ですか?」と詮索される。私は必死に嘘の体温を伝えた。なんの為に自閉症だと診断書を出したのかと思うほど、無理解、無知な幼稚園だと思うことが多々あるのだ。
娘のことは自閉症だと伝えてあるし、疲れやすいことも伝えてあったが(そもそも診断書に医者から色々書いてあるのをどこまで理解しているんだろうか)、何も理解されないし、先生達も勉強してくれなかった。
結果、娘は良い子に徹して、辛くても泣かない(これは幼稚園の方針でもある)を貫いて、頑張った。
不安とともに小学校に入学。
担任の先生は二十代と若く、男性で最初は娘が何も言い出せないかと不安だった。
けれど予想に反して、先生は心大きく娘の病気を理解してくれ(受け入れて、かな?)、どうやって普通学級でみんなと仲良くやっていくかを考えてくれ、普段から観察してくれ、娘がパニックになる時もサポートしてくれた。
この差はなんだろうと思った。
若い、男性、最初の先入観は本当に無駄だった。
年がいった女性の幼稚園の先生なら安心、どこかで思う反面、新しいことを勉強してくれない、最近の事情を知らない、対応出来ないということもある。
もちろん、先生に対してその先入観こそ無駄かもしれない。
でも、幼稚園での我慢我慢は親子で苦痛だったのだなと、小学校に入学して思う。
娘は小学校に入り、言い方はおかしいかもしれないが、クラスで泣いてパニックを起こすようになって、本当の自分を出せるようになった。
それは、私としては良いことだと思っている。
幼稚園では感情を押し殺していたのだし、良い子でいないといけないと思っていたのだから、周りに迷惑をかけてもいいのだと思えるようになれただけ、伸び伸びしているんだろう。
先生は大変だろうし、他の子もびっくりするから申し訳ないのだけれどね。
でも、本当は泣いて困って喚いて、というのが娘の本性。
それをどうやって皆と合わせていきながら、自分の気持ちを落ち着けて、納得させていくかが小学校の課題かなと思っている。
先はまだまだ長いなあ。
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