没頭

己に没頭している「いい顔」を見てニヤニヤした

「いい顔」を見るのが私はとっても好きだ。


先日ふと出会った「いい顔」は、子どもの遊び場で遭遇した8歳くらいの女の子といるお父さんの顔。二人は砂場で、大小たくさんの立派な型抜きをしまくっている。お城やタワーみたいな型抜きから、貝殻や動物をモチーフにした小さな型抜きまで、二人の前にはきれいに型抜かれた、お宝たちがずらりと並んでいる。私にはもはや二人の作品に見えた。



ふと見ると、まさに、そのお父さんが、型抜きをする瞬間だった。いかに崩さぬよう型から抜けるか、真剣である。まるで壺の焼き具合を確かめるかのように、型抜きをコンコンと静かに叩いている。なんともこちらも唾をのむ緊張の一瞬だ。


お父さんの顔が、一気に緩んだ。


型抜きは大成功であったようだ。なめらかで型の凸凹がくっきりと浮き出ている。


私も思わず肩をなでおろす様な気分だった。


私はそのお父さんのいい顔をみてニヤニヤしていた。すごく好きな表情だったから。


私にとっての「いい顔」は、己に没頭している時の顔だ。本人は分かっているか知らぬが、己になっている瞬間が私にはなんとなく分かる。きっと本人は気持ちよい感覚を持っているはずな瞬間。


周りを気に留めず、手掛けている目の前のことに一心不乱な状態。それは本当に美しい姿だと思う。


コックさんの夫が料理を作っている時、ピアニストが己に没頭して演奏している時、ボールを追いかけ走るラグビーの日本代表選手達、折り紙で得意な時計を折る我が子の顔もそうだ。


好きなものが一つ増えた。良かった。


「いい顔」が好きな私は、こんな感じでニヤニヤするけど

イケメンが好きな人は、同じ様な感じでニヤニヤするんだろうか(笑)

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